鈴音 ―四国遍路に響く、里山の宿―

戸建  /   エリア:香川県  /   掲載日:2025-09-15

戸建  /   エリア:香川県

掲載日:2025-09-15

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香川県さぬき市前山の里山に誕生した「鈴音 by 4S STAY」は、四国八十八ヶ所の第87番と第88番札所の中間に位置する簡易宿泊施設です。4S STAYはJR四国が展開する宿泊ブランドで、空き家や空き施設を活用し、地域が紡いできた文脈を「暮らすように滞在し体感する旅」を提案しています。
四国では人口減少や高齢化が全国に先行し、空き家が目立ちますが、一方で、先人が切り拓いた田畑や気候風土に根差した食文化、そして遍路文化に伴う「お接待」の心が息づいています。
鈴音(すずね)は、かつて直売所として親しまれた施設を最小限の改修で再生した宿です。宿名はお遍路さんが携える鈴に由来し、「ホテル並みの安心感」と「一棟貸しのプライベート性」の両立は、“現代版のお接待”を体現しています。北窓から差し込む柔らかな光や、里山の緑に囲まれた静寂は、旅人の心をほどきます。
旅人は里山の光の中で深呼吸し、子どもはポニーと遊び、その姿をお遍路さんや地元住民が笑顔で見守る…かつての空き施設がいま、人々が語り合い、旅人と地域が自然に交わる拠点へと生まれ変わったのです。
結願直前の里山に生まれた新たな宿は、単なる建物の再生にとどまらず、地域に眠っていた物語を未来へ繋ぐ確かな挑戦です。旅人と地域が交わす穏やかな笑顔や笑い声は、やさしい鈴の音のように、新たな物語を紡ぎながら四国の里山に響き続けていきます。

BEFORE


before image

「鈴音」の建物は築約50年。かつては地場産品の直売所として賑わい、地域の人々や旅人たちが立ち寄り言葉を交わす場所でした。しかしオーナーの高齢化や病により営業を終え、道の駅のすぐ隣という好立地にありながら長く空き施設となったままに。目に触れる場所にありながら使われない姿は、地域の空洞化を象徴していました。今回のリノベーションでは、建物や土地が刻んできた文脈を引き継ぐ意味でも、外観や間取りをほとんど変えずに、宿として再生。内装は落ち着きのあるグレーを基調とし、北窓から差し込む柔らかな光と木々の緑が溶け合い、訪れた人が深呼吸し、何もしない贅沢な時間を味わえる里山リトリート空間へと生まれ変わりました。

Before

After

    • 部門
    • 無差別級
    • 間取り
    • 1LDK
    • 費用
    • 1000万円(税込)
    • 形態
    • 自由設計リノベ
  • 費用に含まれるもの
  • 水まわり / 居室・その他 / 屋外
  • 施主支給設備(費用に含まれないもの)

物件情報


CREDIT


  • 設計・デザイン JR四国不動産開発株式会社 代表取締役黒長勝、担当上野美砂
  • 施主 四国旅客鉄道株式会社
  • 施工 株式会社エグゼスト 代表取締役 松原正倫、担当 藤本有孝
  • 写真 竹井陽平デザイン室