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本件は自社倉庫デットストックやメーカーアウトレット建材、端材マーケット入手品を最大限活用し新たな価値を再定義し賃貸ビジネスを成立させたいという挑戦的かつ現実な想いと、昔ながらの情緒を少しでも残したい感情的な想いを実現させるべくリノベーションを実施。継ぎはぎ感や古臭いというネガティブな印象を抱かせないよう廃材それぞれの素材の風合いや色彩構成を意識し、現代的な存在に再定義し、全体をモダンにコーディネートしている。
もともと1階2階ともに暗く閉塞感のある空間であったが、和室とLDKの壁を取り除き、ユーザーが自由に家具をレイアウトできるように床面積を広げ、床材も統一し抜け感のある戸で間仕切ることで解放感を高めている。内外装ともにモノトーンを基調にメリハリのある建材を選定使用することで空間全体を明るく現代的に演出している。
結果的に賃貸募集から2週間で借主が決定し、狙いであった廃棄物や汚染を生み出さず資源/資産の価値を最大化しながら、効率的かつ循環的に利用する経済システムを物件及び賃貸ビジネスで実現。
BEFORE
対象物件は豊橋市船町という町のとある一軒家。
船町という場所は、1590年の池田輝政入城後に町名が命じられ、豊川沿いにある東海道の交通路として発展し、かつては 東海道の「天下橋(吉田大橋)」の船着き場や渡し場として栄え、 船町駅(現在のJR飯田線船町駅)が開設されるなど、市内でも交通の要衝としての役割を担い豊橋祇園祭りの打ち上げ花火も近くで鑑賞できる古き良き東三河の情緒や風景を堪能できる町です。
元々商店街の中の一軒であったということもあり、家はベーシックな設計や構造。ドラスティックな構造変更は行わず、ポテンシャルをどれだけ魅力的に演出しユーザビリティを高めるかがポイント。サーキュラーエコノミーを主題にしつつも、街中の景観と調和させ、いかに現代的に生活ができるようリノベーションし賃貸ビジネスとして成立させられるかという非常に難解で挑戦的な案件であった。

