この家づくりを振り返ると、“美は細部に宿る”という言葉を体現するかのように、どんなに小さなパーツにも妥協がなかった。
アンティークのタイルや照明、陶器のドアノブ、真鍮のつまみや見切り。
どんなに時間がかかっても、納得がいくまで考え、答えを出した。
こだわりはパーツだけにとどまらない。
間取りを検討する際も、使い勝手だけでなく、それぞれの場所から見たシーンの美しさを意識した。
玄関からまっすぐに進むと現れるゆるやかなアールの壁。
その先のリビングにはこれまで少しずつ集めてきたアンティークの家具がならび、まるではじめからそこにあったかのように馴染んでいる。
壁や床、天井など素材感にこだわったすべての要素が、統一感のある美しい空間を形作っている。
こだわり抜いた空間を通して、レンガ敷きの広い庭を眺めると、この場所だけ時間がゆっくり流れるような感覚に包まれる。
施主家族がこれから時間を重ねるごとに、美しく変化していくことを楽しみにできる住まいである。
BEFORE
マンションには珍しい、レンガ敷きの広い庭がついた部屋。
施主は前の住人が大切に育ててきた植栽が繫るその空間を一目見て気に入り、内覧後すぐに購入を決断した。
アパレル店の店主である施主は、店舗づくりで何度も空間づくりを経験し、
”いつかは自宅も自分たちのこだわりの詰まった空間に”との想いを持っていた。
リノベーションでは、細部にまでこだわり抜き、素材やパーツ、間取り、家具まで、自分たちの理想を反映させることを目指した。