間取りは、2LDK+ 大きな土間+ウォークインクローゼット+SOHOの間取りをベースに。ダイニングを起点に迂回を必要とせず、どの部屋にも行きやすい動線に。ダイニング、SOHO、寝室とつながる空間に、ベランダからの光、エアコンの風を行き渡らせます。和室には客間としても家事室としても使える柔軟性の高さを。洗面所とつながるクローゼットは家事短縮動線。玄関側からもダイニング側からも出入りできる2WAY動線です。
外壁に面した部分はスタイロフォームでしっかり断熱し、ベランダ側にはLOW-Eガラスの高断熱の二重サッシを設置。梁下いっぱいを使ったカーテンボックスでインテリアを建築化。機能性だけでなく、見た目もすっきりとした印象に整えます。リビングの壁面には、ペット消臭と調湿機能が高いスイス漆喰。床フローリングは、ネコちゃんも滑りにくい防音フロアーを採用し、人間にもネコちゃんにも優しく。
このマンションの特異的な点は、床スラブから電話線が配管されていること。通常のマンションでは電話線はパイプスペースから天井を伝って室内に入り込みます。床上げをせずに、いかに電話線を室内に通すかが課題となりましたが、猫ちゃんが遊べるキャットウォークも兼ねた小壁を立ち上げることで解決しました。外気温の影響を受けにくい断熱性と、高低差を縦横無尽に動き回れる空間は、ネコちゃんだけが在宅でも安心です。
BEFORE
緑豊かな閑静な住宅街にたたずむ、築45年のヴィンテージマンション。外の環境は豊かで魅力的である一方、建物の古さゆえに住みづらさを感じる場面も多くありました。特に在宅時間の長い家族やペットにとっては、断熱性の低さや動線の不便さが日々の暮らしに影響を与えます。人も動物も快適に過ごせる住まいを実現したい──そんな思いを出発点に、今回のリノベーションが始まりました。国が認定する「エコ基準」を満たす省エネルギー改修を取り入れ、年間の光熱費を抑えつつ、家にいる時間を心地よくすることを目指します。また、ただ省エネや断熱性を高めるだけではなく、ネコと共に暮らすからこそ必要となる居心地や遊び場の工夫も盛り込み、人間とペット双方に優しい住まいの形を探りました。