仏壇通りを繋ぎ直す六層の実験

その他  /   エリア:愛知県  /   掲載日:2025-08-29

その他  /   エリア:愛知県

掲載日:2025-08-29

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築48年、旧耐震・検査済証無しのまま長く放置されていたこのビル。街の停滞を象徴する存在を、私たちは単なる不動産再生ではなく「文化を繋ぎ直す拠点」として蘇らせました。
まず「いかにコストを抑えつつ持続可能な運営を実現するか」を検討し、投資分析を重ね収益性を確保。その一方で、地域や行政との協議、設計変更や工費増などの困難に直面しましたが、プロジェクトメンバーの前向きな姿勢が実現へと導きました。
再生後のビルは多層的な機能を備えています。1〜2階には行列を生むカフェとフラワーショップを誘致し、3階はアートディレクターを中心に多様なクリエイターが集う共創空間に。4階はシェアオフィス、5階はアトリエ、6階は多目的倉庫として活用。吹き抜けのエントランスには地域や仏壇業界とコラボする壁面を設けました。
ここは若者やアーティストが集い、文化を感じ、仏壇の存在や親の死、そして自らの死に思いを馳せる場でもあります。その体験を通じて「今を大切に生き、より良き祖先へ」という意識を育むことを願っています。かつて停滞の象徴だった空きビルは、いまや街の未来を切り拓き、仏壇業界に革新をもたらす文化の旗印へと生まれ変わりました。

BEFORE


before image

大須商店街の賑わいを横目に、名古屋「仏壇通り」は静まり返っていた。かつて200軒もの仏壇仏具店が連なり、職人の技と祈りの文化を支えたが、後継者不足と需要減少の波に飲まれ、街は徐々に衰退。空き物件が手放され、新築マンションばかりが増えていく中、集いの場は失われていった。このビルも例外ではない。納骨堂としての再生は近隣の反対で立ち消え、数年間放置されたままの姿は、街の停滞を象徴していた。文化と人の往来を結び直す拠点の必要性が、そこには浮かび上がっていた。

Before

After

    • 部門
    • 無差別級
    • 間取り
    • エントランス吹抜
    • 費用
    • 9000万円(税込)
    • 形態
    • 自由設計リノベ
  • 性能向上リノベ 実施
  • <断熱性能>無し
  • <耐震性能>構造設計士算定:構造躯体補強、雑壁撤去
  • 費用に含まれるもの
  • 家全体 / 水まわり / 屋外 / 耐震補強 / その他
  • 施主支給設備(費用に含まれないもの)
  • 無し

物件情報


    • 築年月
    • 1976年11月
    • 構造
    • 鉄筋コンクリート
    • リノベーション面積
    • 753.76㎡
    • 施工期間
    • 20カ月
    • 備考

CREDIT


  • オーナー/トータルプロデュース/施工 ナグラ産業株式会社 名倉昌孝
  • メイン設計デザイン 林建築デザイン 林祐介
  • 法規設計 建築事務所TESSEN 鴻池慎二 大木壯太
  • カフェ設計デザイン 株式会社knot design 佐久間拓郎
  • アートディレクション ニューロジェン・スタジオ株式会社 立花晃隆
  • 撮影 松千代