支えをかたちに

マンション  /   エリア:大阪府  /   掲載日:2025-08-22

マンション  /   エリア:大阪府

掲載日:2025-08-22

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施主は首から下を動かすことが難しい難病を抱え、電動車いすと共に日々を過ごしている。朝夕晩のヘルパー支援が欠かせず、「生活の必死さを少しでも和らげたい。どんなヘルパーが来ても介護しやすい空間にしたい」という想いから本プロジェクトが始まった。ヘルパーには力仕事に強い人や料理が得意な人もいるなど、支える人の個性に左右されない環境づくりが求められた。

設計は、医療介護用ベッド国内シェア1位のパラマウントベッド監修のもとで進行。玄関・寝室・浴室にはリフトを計画し、パラマウントベッドから設置面など助言を受けた。特に浴室には、施主も「十年以上ぶりに湯船に浸かれるかもしれない」と期待を寄せる。洗面にキッチンを利用するため、シンク下を抜いて車いすのまま歯磨きできるスペースを確保。リビングには二段カウンターを造作し、施主が自ら食事をとれるように工夫した。さらに、寒さに弱い体を守るため外壁断熱工事と内窓設置を行い断熱性を強化。洗面室にはヘルパーの作業を助けるガス衣類乾燥機を導入した。

「わからないことがわからない」──それがこのリノベーションの難しさだった。施主と共にミリ単位のニーズを探り続け、それを形にすることが設計チームにとってのチャレンジだった。想像上のバリアフリーでは到底足りず、本当に必要なものは何かを探り続ける過程は最も苦労し、そして最もやりがいを感じた部分でもある。

BEFORE


before image

以前住んでいた賃貸マンションの良かった点は広い土間が設けられていて、偶然その空間が車いすでの旋回に適していたこと。しかし、浴室やトイレは介護を想定していない一般的な造りで、さらに最上階の角部屋ゆえの暑さや寒さが気になっていたことから、物件購入とリノベーションを決意。
物件探しでは、勤務地から近く、平坦な道でアクセスできることが必須条件。加えてエントランスや共用部がバリアフリーであることや、扉やオートロックの仕様に至るまで細かい条件クリアが必要だった。そのため内見数は限られ、紙面上でも条件に合わない物件を次々と除外するしかなかった。一年以上を費やして、ようやく当物件に巡り会い、リノベーションがスタートした。

Before

After

    • 部門
    • 1500万円以上
    • 間取り
    • 1LDK+WIC
    • 費用
    • 1910万円(税込)
    • 形態
    • 自由設計リノベ
  • 性能向上リノベ 実施
  • <断熱性能>外壁断熱工事、内窓3箇所設置
  • <耐震性能>該当なし
  • 費用に含まれるもの
  • 家全体 / 水まわり / 居室・その他
  • 施主支給設備(費用に含まれないもの)
  • トイレ

物件情報


    • 築年月
    • 1984年9月
    • 構造
    • SRC
    • リノベーション面積
    • 54.34
    • 施工期間
    • 約4ヶ月
    • 備考
    • 浴室リフトは今後設置予定

CREDIT


  • グローバルベイスマイリノ株式会社 設計・施工:本間 美輝
  • パラマウントベッド株式会社 監修