本と暮らす。そこから始まる自分時間

マンション  /   エリア:東京都  /   掲載日:2025-08-18   R mark

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掲載日:2025-08-18  /   R mark

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買い取り再販事業において、ペルソナ設定と、その特性に応じて空間の個性をどこまでつくり込むかは重要な論点である。本件は、近隣に中・高等学校が多い立地特性から、30〜40代の単身の教育従事者を主ターゲットとした。専門図書を多数所有し、蔵書が継続的に増える傾向を想定し、見た目に端正で使いやすい壁面一体の造作書庫をリノベーションプランの一部として計画に盛り込むこととした。これは、日常的に本と暮らす読書愛好家や蔵書家というサブターゲットにも訴求しうる。徒歩圏には、「日本一美しい本棚」と称されるモリソン書庫を擁する東洋文庫ミュージアムがある。天井まで伸びる書庫というデザインエッセンスを参照し、空間にすっきりと溶け込む天井高の書庫を備えた住まいをコンセプトとした。暮らしの中心となるLDKのみならず、第一印象を担う玄関ホールにも同仕様の書庫を造作。お気に入りのコレクションを並べ、時に入れ替えを楽しみながら、家のどこにいても本が視界に入る仕掛けとした。書庫前のアームソファ、窓辺のワークチェア、トイレブース、あるいは立ち読みなど、天候や気分に応じて居場所を選べる。そうして住まいの各所が、自然と“自分時間”を始めるもう一つの読書エリアへと変わる。教育従事者はもとより、ウェルビーイングな暮らしを志向する読書家・蔵書家が、大切な本とともに心豊かな日常を送れる場として、この付加価値を存分に享受してほしい。

BEFORE


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近年、ウェルビーイング志向の高まりを背景に居住者が個性を生かし自分らしくいられる心地よい空間の実現がよいリノベーションの要件であると認識されてきている。一方、買い取り再販事業では個性づけをどの程度まで計画に織り込むかが常に課題である。販売段階で顧客のライフスタイルや嗜好と合致しない場合に敬遠されたり、購入後すぐに撤去されたりすることもあるため、むやみに予算を割くべきではないという判断も成り立つ。しかし、昨今の価格高騰により市場競争は激化し、多様性の時代を迎えて顧客の要望は広がっている。競合との差別化には明確なターゲット層に訴える仕掛けが必要だと折に触れて考える。築47年の本物件はデザイン性の高いヴィンテージマンションの趣を備える。専有面積44.55㎡の標準的な1LDKであるが、居住者のライフスタイルや価値観に即した付加価値を盛り込むことで、幸福度の高い住空間へ高められる可能性を感じた。

Before

After

    • 部門
    • 800万円未満
    • 間取り
    • 1LDK
    • 費用
    • 748万円(税込)
    • 形態
    • 再販モデル
  • 費用に含まれるもの
  • 家全体
  • 施主支給設備(費用に含まれないもの)
  • 家具、ディスプレイ小物

物件情報


    • 築年月
    • 1978年4月
    • 構造
    • 鉄骨鉄筋コンクリート
    • リノベーション面積
    • 44.55
    • 施工期間
    • 2.7カ月
    • 備考

CREDIT


  • プラン・デザイン:株式会社大京穴吹不動産
  • 施工:株式会社ReStyle