ふたりの間(あわい)

マンション  /   エリア:東京都  /   掲載日:2025-08-15   R mark

マンション  /   エリア:東京都

掲載日:2025-08-15  /   R mark

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コロナ禍を経て日常となった在宅勤務。だがふたりの人間が同じ空間で一日中仕事をしていると、どうしても互いの存在に息が詰まる瞬間もある。
ふたりにとって、心地よい暮らしの間合いのポイントは「お互いのワークスペース」だった。

近すぎず遠すぎない、思いやりある間をつくる仕掛けは、ワンルームを緩やかに仕切る複数の箱。天井まである壁はトイレ洗面お風呂のみ、他は全部天井がオープンなつくりだ。そうすることで視線が遮られ、お互いが仕事に集中できるスペースは確保しながら、それぞれの息遣いや衣擦れが感じられるさりげなくも心地のいい距離感を生み出した。
ふたりの時間を結ぶ場所は、窓辺に面した一番気持ちよい場所に計画したリビング。部屋を十字に走る大梁に沿って計画したのびやかな空間で、ふたりは造作ベンチでくつろぎ外を見遣る。ふたり時間の余韻を残しながら、それぞれの書斎に戻り仕事へ。すぐ隣にいるという安心感と、ひとりで仕事に集中する時間は両立できる。これがふたりの求めた「ひとりでもふたりでも豊かな家」だ。
さらに三方に開口部がある物件の特徴を活かして、目線が部屋の外側に向かう展望台のように設計。内は寄り添いすぎず、外はどこまでもひらいている。
回遊動線と部屋をぐるりと囲う土間は空間にリズムを生み出し、風も光も緑も、ふたりの気分までご機嫌に巡る間取りで、愛猫も壁を伝って気ままに移動している。

BEFORE


before image

2LDKだった空間を大胆なワンルームに変更したことで、ふたりと一匹がそれぞれの余白を味わうことのできる空間へ。
それを叶えたのは、ふたりの”人生の先輩”とも言える築53年の物件だ。
広くて懐深く、ひらけた眺望。建物内の至る所に残るレトロな可愛らしさ。手間暇をかけても住み継ぐ意義を夫妻は見出した。
躯体の波打ちなど古さゆえの一筋縄ではいかない難所も散見されたが、一つずつ向き合って丁寧に補修することで築古物件のデメリットをカバー。
玄関ドアの真横を走る鉄管は下階のテレビ配管で、解体後に露出し撤去できないことがわかったが、赤く塗装することでインテリアのアクセントとして活かすアイデアを採用した。
回遊動線に沿って施された床の全面ヘリンボーン張りも技術力の賜物。
技術力と解釈によって築古ならではの想定外までをカバーし、古さごと愛せる空間へと昇華させたのである。

Before

After

    • 部門
    • 1500万円以上
    • 間取り
    • 1R
    • 費用
    • 2275万円(税込)
    • 形態
    • 自由設計リノベ
  • 性能向上リノベ 実施
  • <断熱性能>断熱材新設、内窓設置
  • <耐震性能>該当なし
  • 費用に含まれるもの
  • 家全体
  • 施主支給設備(費用に含まれないもの)
  • 照明器具

物件情報


    • 築年月
    • 1972年3月
    • 構造
    • RC
    • リノベーション面積
    • 87.94㎡
    • 施工期間
    • 3.5ヶ月
    • 備考

CREDIT


  • 株式会社groove agent 設計:菊池潤