赤ちゃん連れの旅は万事の備えで荷物がいっぱい。赤ちゃんのお世話は日常の延長で環境も違うのでママの緊張もひとしお。旅の中で子育てという日常に寄り添いながら、ここで過ごす時間を愛おしく感じてもらえたらきっとこの旅は楽しい思い出でいっぱいになる。
これは『mama to co』=ママとまんまる小さな子“乳児期の赤ちゃん”とその家族旅のための客室リノベーションである。
全体は樹種や材質が異なる木材を組み合わせ、曲線や素材感で柔らかさと楽しさを。プランは赤ちゃんのお世話をする動線に沿った回遊性を持たせた。荷物をどさっと置ける通路兼用クローゼットはベビーゲートを設けいたずらや誤飲防止、下足部への落下も防止する。家族で囲むソファ、部屋幅いっぱいのベッド、外の自然と繋ぐヌック。バスルームのベンチはベビーバスを置き沐浴やママと横並びに座りシャワータイム、入浴中の急なトイレも見守りできる。家族揃って着替や身支度ができ、おむつ替えシートもある広いサニタリー。動線上の適所の収納には充実したベビーグッズが並ぶ。
高原の空気を感じながらヌックで日向ぼっこ。子供の寝相で端に追いやられる愛おしさも良いが今夜はゆったり大の字でねむる。早く寝かしつけしたらパパともゆっくり過ごそう。
赤ちゃんのお世話をゆったりとしながら、やすめるひと時はゆっくりと、ここが旅のメインになるような過ごす場になれば嬉しい。
BEFORE
白樺湖畔に開業してから73年の歴史ある池の平ホテル。現在に至るまで増改築を行い本館・東館・アネックス館とレジャー施設併設の複合宿泊施設。
計画はアネックス館3階の一番端にある客室の2部屋。
大きな窓はあるが部屋が全体的に薄暗い。部屋は広くベッドを3台配置しても余裕はあるが、ソファ・ドレッサー・収納などの置き家具が必要性からただ置かれたような雰囲気を感じる。部屋に入ってすぐの通路に沿って洗面、トイレ・UBは部屋の広さに反しコンパクト。
工事は2期に分け、1期目は浴室・トイレを除く部分を2019年ホテルの繁忙期前の1ヶ月で、2期目は2023年の同時期同工期で浴室・トイレを施工。ホテル内には家族で一緒に入浴できる大浴場があり、赤ちゃん連れに対応しており1期工事の段階では大浴場の利用率が高かった。しかし客室の運用をしていく中でお客様のニーズを積み、2期工事で完全リニューアルすることになった。