「仕事や生活の中で、心がもやもや、ざわざわすることって、ありますよね。そんな時、ひとまずヌックに行けば気持ちをリセットできるんです」。
にこやかに話す施主様は共働きの若いご夫婦で、お子様が生まれたばかり。リノベーションを決めたのは妊娠前、ふたり暮らしの頃でした。忙しい毎日、家事や仕事をがんばる中で、「心を落ち着けるために」あえて取り入れたのが、ヌックです。
「ふぅっと深呼吸ができて、自分のペースが取り戻せるような空間があるといいなと思って」と話すご夫妻がヌックを望んだ場所は、海の見える、広くて開放的なリビングの一角。
「部屋の広さを生かしたリノベーションも考えたんですが、私たちはちょっと立ち止まれる場所がほしくなって。窓から海をながめて一息つきたい時、どんな空間が寄り添ってくれるかと考えたら、“ヌック”がちょうどいいね、って。子どもが生まれたいまも、泣きだした子を抱いてヌックで一緒にすごすと、子どもも私も自然と落ち着くんです。心身ともに安定した状態にもっていける場所が家の中にあるって、こんなに心強いことなんだ、と実感しています」。
家に求める“居心地”の良さは、人それぞれ。「こころの風通しがスッと良くなる」「自然と機嫌が上向きになる」――そういった、目に見えないところも整えてくれるような、こぢんまりした空間が住まい手に与える効果をうまく取り入れた好例です。
BEFORE
目の前に海がきらめくこちらの戸建ては、間取り自体はほぼ変える必要がありませんでした。ただ、室内が全体的に角ばっていたため、「スタイリッシュと華奢のバランスをうまく取ること」を念頭にリノベーションを進めました。
1階の広々としたリビングは、あえて窓辺の特等席にヌックを設置。さらに、ヌックの入口にR開口を取り入れてやわらかい雰囲気に仕上げました。「R開口が空間のアクセントになってバランス良くまとまり、大満足です」。
通路や窓際など、間取りの“隙間”のような場所に導入するケースが多いヌックですが、この事例では「暮らしに欠かせない大切な場所」と位置づけました。