床の傾斜を改良するため二重床を採用し、キッチンはアイランド型へ一新。LDと一体とすることで、家族とのコミュニケーションがはかどる空間にするとともに、夏場の暑さ問題も解消。洗濯機置場横にはハンガーパイプと作業台を設置。アイロンがけはもちろん、ちょっとした作業に重宝するスペースを設けることで、タイムパフォーマンスの良い動線とした。室内を縦断していた廊下を削減し、収納スペースへ転換。扉は設けないがリビングからは中が見えない配置とすることで、「見せたくないけど使いやすい」のバランスを追求。収納棚は全て可動棚とし、ランドセルなど毎日使う物の収納として、キッチンにも近いのでパントリーとしても活用できる空間である。家の中央に位置し、家族全員が利用できるこの空間で、お互いが日々の変化をキャッチし会話が生まれていくことをイメージした。リビングの壁面はプロジェクターに対応できるよう、あえてベースクロスのみで構成。居住者が好きなアクセントを加えられる余地も残している。
日本でも有数のマンション団地である本物件。いずれの棟も築30年を超えるが、その生活環境の良さから今でも魅力を放つ街である。時代のニーズをふまえた間取りに、こだわりをエッセンスとして加えた住宅を提供することで、代謝を促し街の魅力をさらに向上させる、この部屋もその流れの一助になれたのではないだろうか。
BEFORE
周辺に生活利便施設が揃い、公園や小学校も近いためファミリー層から根強い人気があるエリアに位置。西向きの6階住戸で、目の前が小学校ということもあり、開放感と採光・通風が優れている住戸である。壁で仕切られたキッチンはリビングまで見通すことができず、冷房の効きも悪く前所有者も使い勝手に悩まされていたとのこと。床にも相当の傾斜があり、改良が必要な状態。また、専有面積に対して廊下が占める割合も多く、収納スペースが各居室以外では廊下の物入のみであり、とりわけ不足感が否めない間取りであった。これらの課題は、水周り及び廊下を中心とした間取り変更で解決可能と判断。66.9㎡の2LDKだが、エリアのニーズを踏まえてファミリーでも十分に活用できる空間を目指した。