20年間リノベーション事業を行い、わかったことがあります。
建物が解体されずに継承してもらうには3つのタイムレスが存在し、その土地の気候・風土・歴史・文化を読み込みデザインされていると。
「物理的にタイムレス」=頑丈であること
構造・素材の耐震性をはじめ、メンテナンス性・更新性が高い工法や素材を使用します。
「感覚的にタイムレス」=柔軟であること
内部に自由度があり、いつの時代・どんな人でも暮らしやすい空間だと、世代を超えて住み継ぐことができます。
「感傷的にタイムレス」=残したい何かがあること
上質な素材を使い、手入れ・手直しをすることで、自分だけの仕上げに優化していきます。
3つのタイムレスから導いた家の特徴をデザインに落とし込みました。コンセプトは「家と庭」。その土地にあり続けて欲しいと思われる新築住宅です。
①5mの壁
四方を5mの壁で囲い、家と庭が存在します。外壁色は街の地層からヒントを得て、街に溶け込むようにしています。中庭上部を巨大な天窓に仕立て、十分な光を確保しつつ、カーテンをせずとも圧倒的なプライベート空間を創りあげます。
②シンプルな箱とタイムレスな素材
柱に身長を刻む。2人暮らしから4人暮らしに。住宅から店舗に。住みながら手を加え、味わいが増す素材を採用し、感覚的・感傷的にタイムレスな住宅を目指しました。
BEFORE
日本では木造住宅は20年で価値が0になると言われています。
建てては壊しを繰り返す、スクラップ&ビルドな日本の家つくりを何とかしたい!と企画・開発が始まりました。
これから建設される新築住宅は、新たな中古住宅の出発点となる住宅と言えます。
最近では、機能性や安全性に注目が集まっていますが、それに加えてDINKS・単身・高齢者世帯と家族の形態も多様化しています。柔軟に居住ニーズに応え、そして時代とともにニーズが変遷することも考えた、家つくり・仕組みつくりをする必要があると考えています。
現在の日本の新築戸建て業界に一石を投じたい、戸建て住宅の発想をリノベーションしたいと願っています。