空き家活用を検討する上で重要なことは、多様化する暮らしに目を向け、その街に暮らす人々のニーズを紐解くことだと考えます。
本プロジェクトでは、ペットを迎えたいと願う家族、既にペットと暮らしているファミリーに注目し、そんな人たちのために使われなくなっていた建物を再生することにしました。
この建物は利便性が高く自然豊かなエリアに立地し、人とペットが快適に共生できる理想的な環境に恵まれています。
その価値・ポテンシャルを最大限に活かし、現状窮屈な暮らしを強いられている「ペットと暮らす」×「仙台での定住が難しいファミリー」に、新しい住まいの選択肢を提供することを目指しました。さらに、単に建物の価値を高めるだけでなく、建物のオーナーや住人、そして地域の発展に貢献でき、人々の生活をより充実させるためのプロジェクトと位置づけました。
豊かな街を作り出すのは「ひと」です。想いを共有する人々が集まり、暮らしの拠点となる場所を生み出すことで、新たなコミュニティが形成され、街は活気づいていきます。この考えに基づき、この建物に人と街が豊かになるため「の家」を意味する「NOIE(のいえ)」という名を与えました。
長い間活用されず静かに佇んでいたこの建物は、「ペットフレンドリーな賃貸物件」として生まれ変わり、今では、すべての部屋で新しい物語が息づいています。
BEFORE
かつては社員が暮らし、賑わいを見せていた仙台市青葉区にある築26年の旧社員寮。
この建物は時の流れと共にもともとの役目を終え、次の買い手が見つからないまま、用途が定まらず2年が経過していました。そんな旧社員寮のセカンドライフを企画・開発したリノベーションプロジェクトをご紹介します。
私たちが着目したのは、転勤のため仙台市に長く住むことが難しいファミリー層で、特にペットと暮らす家族でした。マーケット調査の結果、ペットと一緒に暮らせる賃貸物件が非常に少ないことが分かりました。住宅購入は難しいため、住まいの選択肢が限られてしまいます。そのため、広さやエリアなどで妥協し、窮屈な生活を送っている家族のための家として活用することにしました。
本プロジェクトは、空き家活用に加え、人とペットがもっと自由で快適に暮らせる空間を作り、多様性を支える新しい暮らしの選択肢を提供する取り組みです。