本物件は閑静な住宅街に鎮座するヴィンテージマンションの一室。レトロなタイル貼りの外観からは懐かしさも感じられる、緩やかな時間が流れるファミリー向けのお部屋です。
長く住む家族が住まうことを想定し計画をしました。のびやかで落ち着いた周辺の街並みの中、お子様が成長して巣立つまでー まるで根を下ろすようにゆったりと、家族が腰を据えて暮らしていく姿を思い描きました。
間取りは3LDK+SIC+WIC。100㎡超の贅沢な広さを持ちながらも、居室数を3室に絞ることで、各室の広さや収納を充実させ、家族の集うLDKには十二分な空間を確保しています。長く住まう上での安心感と贅沢さの両立を狙いました。
マンションの管理規約により床材はカーペットに限定されるものの、この制約を逆に活かし、ラグジュリーな海外ブティックホテルのようなデザインへと昇華しました。カーペットとモールディングの腰壁、石面調タイル、人工大理石、そして真鍮部材を各所に組み合わせています。腰壁のカラーリングはリビングダイニングの窓外から見える隣地の植栽を引用することで、オープンカウンターのキッチンと合わせて居室の広がりをより一層引き立てています。
BEFORE
本物件は南と東からの豊かな陽光や、窓外に広がる隣地の植栽が、空間のゆとりをより一層引き立てていた。一方で、既存室内はブロックや耐力壁によって分断され、部屋数の少なさや収納の使いにくさなど、長く住まう上での不便さが課題であった。本計画では、3〜4人のファミリー世帯が長く快適に暮らせるように設計。動かせないパイプスペースや耐力壁を避けつつ、3つの居室を確保し、それぞれに適切な収納スペースを配置した。広さ的には4室を設けることも可能だったがあえて3室とすることで、ゆとりあるLDKを設計し贅沢な空間を実現している。窓外の景色と呼応するようなカラーリングを室内に取り込み、窓向きのオープンキッチンとすることで、開放感をより一層引き立てる。