舞台は伝統と先進が共存する「麻布十番」。周辺は大使館が多く、他国への玄関口となっている土地でもあります。そんな街の魅力を取り入れ「異国交差点」をコンセプトにプランニングをしました。
【間取り/設え】3LDKの部屋数はそのままに、まるでラグジュアリーホテルに滞在しているような高揚感と落ち着きを感じてもらえるような空間にしたいと考え、現行の間取りは活かしつつ設えを再構築しました。日々の生活や来客時のメインの空間となる玄関とLDには細いアルミフレームのガラス建具を採用し、LDの窓だけでなく洋室の窓から入る光も最大限届け、少しでも明るい印象を与えられるようにしています。LDと洋室の間仕切りのガラス建具とカーテンは、ホテルライクな印象を与えるだけでなく開け放って洋室をLDとして使う、ガラス建具だけを閉じて視線を通しつつ間仕切る、ガラス建具とカーテンを閉めてプライベートの個室として使うなど、フレキシブルに使うことのできる仕様です。洋室のニッチは間接照明入りの木パネル貼りで仕上げ、洋室だけでなく、透過して見えるLDからのアクセントにもなっています。洋室の一番日の当たるスペースはタイルに切り替えており、インナーテラスとして使うことができます。
【素材の選定】淡い色の木と和紙、低重心な家具で日本的要素を、細いフレームのガラス建具と大判の石目調タイルで海外的要素を表現しました。
BEFORE
日々の生活や来客時のメインの空間となる玄関とLDは明るい空間に仕上げたいという思いがありました。
しかしリノベーション工事前の現地は、LDは窓2枚分の開口しかなく、眺望の抜けもないため圧迫感のある印象。玄関はLD建具によって視線と光が分断された薄暗い空間でした。
一方で洋室奥のサンルームは前の建物の隙間から差し込む陽の当たる明るい場所でした。この明るさをLDと玄関に届けることを留意しつつ、街の魅力を取り込みながらリノベーションの設計を進めました。