玉名市は熊本県北部に位置し、かつては玉名駅周辺が商業や工業の中心として栄えていた。
最近では郊外型の商業の影響や高齢化により、中心地区の空洞化が進んでいる。
プロジェクトはじまりは、長屋全体がほぼ空き家となり、賑わいや人が滞在できる場所が少なくなってきた駅前に
「世代を超えて、多くの人々が気軽に集える憩いと交流の場」を作り、地域を活性化させたいという施主の想い。
長屋のひとつである元自転車置き場だった物件を、1階をイベントスペース&ドロップインで利用できるコワーキングスペース、
2階は継続利用可能なレンタルオフィスとしてコンバージョンした。
駅を出るとすぐ目に入るファサードには、大きなガラスの木製建具を設置。
開放することで内外が一体となり、初めて訪れる人も気軽に過ごせるパブリックな空間だ。
入口に併設した「0番線」という愛称のカウンターは、電車の上げ下げ窓や駅のホームイメージしてデザイン。
チャレンジショップやイベントも徐々に開催され、新たな地域の発信拠点となってきている。
この町で暮らす人や訪れる人にとって、「I’m home(ただいま)」と言える場所になるように。
駅の「ホーム」のようにたくさんの人々が行き交い、ここから新たな旅立ちができるように。
この場所にその思いを込めて「HOME」と名付けられた。
BEFORE
建ち並ぶ長屋の間に位置する対象物件は築64年の元自転車置き場屋。
1階奥と2階が大家さんの元自宅で、当時から残っている荷物の保管場所や、
雨漏り、老朽化した2階の鉄製サッシなど課題は様々あった。