「自分の空間を編集するための道具箱」をコンセプトに内装に関する商品やアイデアを提供する、toolbox。大阪に2つ目の拠点を作るため、街のプレイヤーに声をかけ、ぐるぐると自転車で都市を巡り、家づくりで何度も通いたくなるような、スパイスの効いた街を対話しながら探しました。吸い込まれるように訪れたのがJR大阪駅周辺から徒歩圏内、情緒ある商店街と細い路地に長屋が残る下町感ある中津エリアです。どこか懐かしい雰囲気が残り、個性的な飲食店が街に馴染んで営業しています。そんな中、角ばった外観と緑の釉薬タイルが特徴的な西田ビルに出逢いました。築58年になる建物ですが慣れ親しんだ外観や"街に開く"をモットーに面白いことをしたい!というビルオーナーの熱意があり、耐震補強をしながら建物を守っていくことを決意されていました。その後、ビルの存続に共感し、物件愛を伝えながらオーナーと対話し、無事入居できることとなりました。しかし、耐震改修のため約2年後にはビル内移転が決まってるという条件付きです。これを前向きにとらえ、動かすことを想定した展示づくりとして「仮設と未完成」をテーマに掲げ設計しています。結果的に家づくりのプロセスを楽しんでもらう場として「こんなやり方があったんだ!これもありだね!」という対話が生まれ、プロの方との出会い、素材やアイデアとの出会いの場として、より妄想が広がるショールームとなりました。
BEFORE
拠点づくりは決して建築の内装の話だけで完結するものではなく、どんな街のどんな建物に入居したいのか施主と妄想を膨らませながら対話することが大切です。SNSの普及などで情報収集が便利になった時代、住まい手は様々な願望を形にしようとしています。ショールームでは足を運んでこそ感じ取れるリアルな場の持つ力、そこに集う人との対話から何かが生まれる瞬間があります。商品を通して設計者、施工者と二人三脚で、妄想を昇華し実現に向かっていくプロセスを大切に考えています。そんな想いを前提に持っていたからこそ大阪という新しい土地でも本質を見抜き、第二のショールームがオープン出来たのだと思います。