新潟県長岡市、JR長岡駅より徒歩約10分、市内中心に位置するご実家リノベーション。
この住宅は当初、新築に建て替えか、リノベーションかで大変悩んでいた。社内で新築のプランと並行して検討し、たどり着いた答えがリノベーションであった。
建物は大通り沿いに位置し、敷地いっぱいに建っており隣地との余裕がなかった。
採光や通風の確保が困難で、窓からの景色も雑居ビルや住宅が建ち並び、視線が気になり外に開くことが難しい状況であった。新築の方が周辺環境を考慮しやすかったが、資金の折り合いが付かず結論が出ずにいた。
その問題を解決する手段として減築案が浮上した。
構造のバランスを考慮しつつ和室二間を減築することで、隣地と距離が生まれ、柔らかな採光を得られ風通しもよくなった。軒の深いウッドデッキスペースは雪深い長岡でも季節を問わず活用できる。
隣地境界付近にはフェンスをたて、家族の目が届き周囲を気にせず子供が遊ぶこともできる。赤いベンチが印象的な喫茶スペースはリモートワークをしながら庭を眺めることもでき、廊下は畳のような素材で寝転がれるなど様々な視点で庭を楽しめる。オーナーのT様は「こんな駅前の住宅街で空を眺めることができるなんて」と嬉しそうに目を細めていた。
建物のポテンシャルを活かすためにできた「減築の庭」は、内部に付加価値を与え、周辺環境と建物をつなぐ架け橋になった。
BEFORE
代々建材屋を営んでいる先代が建てたご実家ということもあり、壊すにはもったいない立派な造りをしていた。リノベーションを想定していない造りとも言え、もう、このままの間取りで100年、その先まで。という気持ちが伝わってくるほどしっかりと組まれており、きれいに解体するのも容易でなかった。
既存建物の床面積が72坪あり、核家族が住むには建物が大きすぎる点と、敷地いっぱいに建てられており、採光や通風、周囲の視線などこれから暮らしていく際、快適に住むことができるか、この二点が大きな課題であった。
さらに中心市街地ということもあり、交通量のある道路に面している為、車の騒音や夜のライトが気にならないように配慮しつつ、空き巣に対する防犯、前面道路に面する屋根からの落雪の配慮など懸念事項も同時に検討していく必要があった。