熊本城の築城とともに造られた城下町で、現在も昔ながらの面影が色濃く残る熊本の魅力的なエリアの一つである新町。
そんな場所に建つマンションのリノベーションを行った。
面積は115㎡とマンションとしてはかなり広い部類に入るが、築古だからこそ物件費用も1000万円台に抑えられた。
施主は元々戸建ての購入を検討していたものの、このマンションとの出会いで中古マンション+リノベーションを決意した。
間取りや素材などの具体的なリノベーションの計画に入る前にまず行ったのは、“どんな暮らしがしたいのか?”を家族で整理すること。
家族でじっくり話し合ってでた要望をひとつひとつかみ砕いて、リノベーションの計画を行った。
生活動線を短縮するための2つの回遊動線を持つ間取り、
空間に多様な素材を織り込むことによって、生活感を受け入れてくれる内装、
リビングの中の小さな腰壁に囲まれたユーティリティースペース、
一見スペースの無駄に思える長くて幅の広い廊下は敢えて残し、隣の住戸との間のワンクッションに。
それらひとつひとつの要素を、日々の生活のシミュレーションを繰り返し行いながら丁寧に検討した。
好きな場所で、シンプルな空間に好きなものを置いて、自分たちが落ち着く暮らしがしたい。
地方都市で暮らす施主の、”暮らしの希望”にこたえたリノベーション事例である。
BEFORE
築35年、115㎡。
熊本駅やバスセンター、市電などの交通の要所や中心市街地まで全て徒歩圏内で利便性も高い立地。
角部屋で窓が多いため、明るく風通しも良い。
工事前の室内は、築35年分の内装の劣化はあるものの、大切に住まわれてきたことを感じさせる状態だった。