ペーパー掛けは削り粉が多く出る上、番手の違うペーパーを使う大変地味で面倒な作業で、労力に対して成果の見えにくい工程である。
既製品や大量販売品とは真逆の非効率なものに価値を見出し、手すりや笠木、柱など手が触れる部分は滑らかに、靴下で滑りやすい箇所は敢えて粗目の番手で止めておく、など職人の手作業をメイン工程とした。
#180、#240、#320、#400、#600、#800、#1000、#1500という8種類のサンドペーパーを使いわけた職人の熱量が随所に注ぎこまれている。経年変化を受け止め、楽しむことも魅力となるリノベーション。手仕事の想いが伝わりリノベ直後にご成約となった。
BEFORE
本建物はコストとデザインを売りに企画展開しているブランドのセミオーダー住宅。限られた床面積の中でスキップフロアや魅せ梁などコストとデザインを上手く両立させている建物であった。
本邸は、築8年という築浅住宅であったため、大きな間取変更や設備交換ではなく、床や笠木、手すりで使われていた木素材の魅力を改めて引き出すプロジェクトとしてスタートした。