築約40年の中古マンションを購入してリノベーションをしたご夫婦お二人暮らしの施主様。リノベーションを考え始めたのは、奥様の会社の同僚の方が中古マンションを購入してリノベーションしていて『かっこいい』と思ったのがきっかけでした。「新築の間取りや内装にはあまり惹かれず、自分たちの好きな間取りで一から作り上げた手触り感のある家にしたいと考えていた。」と施主様。この物件は出っ張りのある特徴的な形をしており、LDKの真ん中には大きな梁が走っています。当初はこの大きな梁を気にされていましたが、設計時にはこの梁に、リビング部分とダイニング部分を緩く区切る“仕切り”の役割を持たせました。出っ張っていたスペースはカーテンで隠すことのできるパントリーとして、冷蔵庫や家電などをすっきり収納できるように設計。一見すると物件の短所に感じる部分が長所に生まれ変わりました。内装は雑誌やSNSに掲載していた事例を参考に、砂っぽさや土っぽさにご主人の地元である沖縄を感じる色味を加えた塗り壁がポイント。単に他人のデザインを真似るのではなく、そこにご自身の好きな要素を取り入れたことで施主様にとって流行り廃りのないデザインにすることができました。「新築ももちろん良いと思いますが、ここは新築以上に愛着が湧きますね。」と施主様。“新しい家”よりも“自分らしい家”を優先された施主様のこだわりが詰まったお家になりました。
BEFORE
大阪市内の人気エリアにあるこの物件。実はもう一つの物件と購入を悩まれたそう。その理由は大きな梁があることによる圧迫感。もう一つの候補物件は天井高が高く、開放感のある空間にできることが大きなメリットでしたが、物件の周辺環境に物足りなさがありました。「大きな梁による圧迫感をなくすことさえできれば、施主様の希望のエリアで思い通りの生活ができる」―このプロジェクトの一番のポイントはこの梁をどうするか、でした。梁を隠そうとすると余計に目立ってしまうことから、梁を物件の“個性”として捉え、良さを引き出すことに焦点を当てました。そこで大胆に広げたLDKの中のリビング部分とダイニング部分を、梁を境に緩く区切ることにしました。これにより壁で仕切るよりも開放感を持たせつつ、役割を持たせたことで梁の圧迫感もなくなりました。“短所”だと感じていたものを“個性”に変え、施主様の希望のお家に近づけることができました。