「神楽盛ル」とは、神楽坂での暮らしを楽しみ、なりきること。
都内で美味しい飲食店が集まるエリアとして有名な神楽坂。外食を楽しむ為この街に住む方も多い。一般的に住宅はプライベート空間として住まい手の快適さを求めるものであるが、お二人の家づくりのテーマは逆。友人知人、子供の友だちなど招かれるゲストが料理やおしゃべりを楽しんでくれる家。その先に招く側ホストとしての楽しさがある。まさに「神楽盛ル」家。
凛とした路地裏の暗がりを模した玄関から暖簾をくぐり開けるダイニングキッチンはワクワク感がとまらない。まさに小料理屋へ来た気分。半島型のオープンキッチンはホストとゲストがおしゃべりしながら料理をつくり食事が楽しめるライブ空間。広すぎないこともポイントでかえって親しい距離感となった。背面の食器棚は扉で隠さずオープンとすることで40年来愛用している食器類が目に入る。建築素材もポジティブな色使いや質感することで視覚的な楽しさも感じられる。廊下はあえて外周の明るい窓周りを回遊する長い導線計画と、途中にテラスやラウンジ、本棚など色々なシーンを介し寝室へつなぐ。寄り道の楽しさで家が面積以上の広さに感じられる。
これまで多くの住まいを経験してきた玄人なお二人だからこその家づくりは至ってシンプル。
「食を通してアナタもワタシも豊かになる」
BEFORE
都内の様々な場所で賃貸暮らしをしてきた結果、神楽坂に築56年の中古マンションを購入。管理組合と管理会社により丁寧に修繕し住み続けられていたが設備面には一抹の不安があった。この年代に建てられたマンションに見られるネガティブ要因としてスラブ下排水である。全面的に解体していくと予期せぬ位置に排水配管が出てきた。しかしポジティブに捉え計画を調整するこで生まれた曲線の壁や斜めの壁は工事完了後の今となっては一つの愛着あるチャームポイントとなっている。