ご夫妻と中学生~社会人の3人兄弟で住む5人家族。子ども部屋はつくらず、寝室は一つのみ。寝室には、ダブルベッドと最下段を引き出すことで3人が寝られる二段ベッドを置いている。5人の定位置は決まっておらず、毎晩早いもの勝ちで寝る場所が決まるんだとか。夫婦別寝室や子ども部屋をつくる家庭が多い中、一つの寝室を家族全員で共有することは、仲が良いからこそできることだ。当初、施主は家の中心に5人の寝室を配置する間取りを希望していたが、移動できないパイプスペースが2ヶ所あったため実現が難しく、何十ものプランを検討・提案した。
隠れ家ガレージのような雰囲気の玄関土間にはソファを置き、遊びに来た友人が靴を履いたままリラックスできるスペースとして使っている。玄関からリビングへ進むにつれ、庭の緑を感じる明るい空間が広がる。廊下は通路としてだけではなく、収納、ギャラリー、筋トレスペースとしても活用できる。リビングへの入り口にはスリットを設け、空間をさりげなく仕切る工夫を施した。家族全員で塗装したダイニングテーブルの下には、置き場所に困っていたペットのうさぎのケージをぴったり収めている。
家族全員が一つの寝室で寝るという斬新な発想は、家族の一体感をさらに高めた。リビングでは家族でゲームを楽しむ機会が増え、子どもたちがどこででも勉強できる環境が整った。家族、ペット、庭の成長とともに新たな思い出が刻まれていく。
BEFORE
細切れの4LDKだったため平米数のわりに狭く感じられ、新築で購入してから約18年が経過し床や壁の老朽化が気になっていた。住み替えも検討したが、子どもたちがこの家で暮らし続けたいと希望したこと、近所の方々との交流が深く愛着のある土地であったこと、バラや桜、オリーブ、バジル、ミントなどの植物が育った大きな庭を手放したくないと感じたことから、自宅リノベーションを選択した。家族はそれぞれの部屋で過ごすよりもリビングに集まることが多く、子どもたちはリビングで勉強するスタイルが定着していたため、施主からは「部屋数を減らしてリビングを広くしたい」「家のどこででも勉強できる環境をつくりたい」という強い要望があった。