鳴り止まない携帯に、トラブル。今日もタフな1日、けれど何とか乗り切った。
リビングのドアを開けるといつも、真っ青な「壁くん」が、おかえりと迎えてくれる。一目散にソファに飛び込む。
息を吸い込み、フーっとゆっくり吐き出す。ようやく肩の荷が緩んで、全身が解き放たれる瞬間。私が「私」に戻る場所。
穏やかな陽の光で目が覚める。まだスーツを着たままだ…。
ぼんやりとソファ脇の写真を見つめながら、ふと心浮き立つ。そうだ、今日は久々にあのイカの煮込みを作ろう。
キンキンに冷えたロゼが最高に合うのよ!と、現地のママンが教えてくれたとっておきの秘伝レシピ。
窓を開けると、訪れた「あの地の景色」が浮かび上がるような、この上ない快晴。
フライングロゼを片手に鼻歌なんて歌いながら、手を動かしていると活力が徐々に満たされていく。
「あの場所」みたいなキッチンで。
そう、ここは日常を繋ぐ非日常。私の帰る場所「グランブルー」
これは「ひとり」の人に宛てた再販リノベである。好きな場所から景色を楽しめるよう、LDの壁面にはスツールと作り付けのベンチを配置。中部屋は室内窓を設け、光と眺望が届く書斎に。インスタの発信で興味を持っていただき、完成後すぐにご契約いただいた。「再販」こそ自分の宝物を発見した時のような喜びを感じられる、ただ1点の美しいクラフトのような住まいでありたい。
BEFORE
築35年が過ぎ、入居者の高齢化が進む一方で、世代交代も始まっている当マンション。
内装設備は古く劣化が進み、継続利用は難しいためリノベーションを行うことに。
我々が目指したのは量産品ではない、「ひとり」の人に届けるための住まい。
その大切な「ひとり」を思い浮かべながら、手間暇と工夫を凝らし、丁寧に作り上げ届けること。
本物件は元々非常に暗い部屋であったが、見晴らしは素晴らしく、この眺望をいかに魅せるかが一つのポイントであった。
天気の良い日は、真っ青な空がまるで海外の伸びやかな海に見えることからヒントを得て、「地中海」をキーワードにリノベーションが始まった。