家族が最も時間を共にする場所。リビング・ダイニングを主空間として、こだわりのオーダーキッチンカウンターが配置されたキッチン、家でも集中できるワークスペース、お子様がキッチンの横で遊べる小上がりなど従空間が、建具でリビングと繋がりつつも離れることもできる平面を計画。家族のコモンスペースに資金を集中投下しつつ、素材の選定にこだわったコスト配分が功を奏した事例となった。
BEFORE
クライアントとの出会いは、地方都市の福井と金沢。いずれもオーセンティックな文化や伝統、素材に囲まれて豊かな暮らしの中で育ったに違いない。その二人が東京で初めて購入する我が家は、東京武蔵野市の専用庭付きのマンション1階だった。東京の地方都市は、子育てにももってこいの環境。そんなクライアントが、気になっていたのは、木製ドアも印刷された表層材で包まれていたりするプリント素材でラッピングされた空間。安くても荒々しくても本物の材料の中で暮らしたい、そしてリノベーションの痕跡が感じられるような空間にしたい。クライアントが集めたリノベーション写真のスクラップ集から、読み取れた深い意味はそれに違いないと考え、リノベーションの方向性が定まった。