山間部に位置する、冬の寒さが厳しい地域でのリノベーション計画。薪ボイラーを使用した床暖房の設置を前提に、暖かい住まいとなるように性能向上を図った。着目したのは、それぞれ壁で隔てられていたキッチンダイニング、居間、玄関横の和室。これらをひとつのLDK空間として繋ぐことで、暖房効率を改善すると共に、広さと見通しを確保。山間部ならではの緑豊かな風景を愉しむことができる、快適な空間を実現した。既存の納戸と収納を含め、家事動線を併せて改善。間取りの細かな修正により、回遊性のある使いやすいキッチンスペースとなった。また、各居室がLDKとつながることにより、各ユーティリティーへの経路がそれぞれ短縮。大規模な変更を行わずに、住まい全体の暮らしやすさを大きく向上させた。山麓の冬は厳しくも、畑に雪が積もる風景はまるで湖畔のような美しさ。穏やかで雄大な“山のほとり”で、いつまでも健やかに暮らしていただきたいという願いを込めて設計を行った。
BEFORE
熊本県東部、山都町。大分祖母山から連なる九州山地の中部にあるこの町は、九州のへそと呼ばれる地域であり、標高は300m～1700m。九州は暖かいとのイメージを持たれるが、山間部の冬は交通規制となるほどに寒い。このような環境にある当邸宅。お孫様が遊びに来ても風邪をひかないように、との想いでリノベーションをご検討された。施主宅は山の中腹に位置し、山々を見渡せる。薪が豊富にあるため、薪ボイラーを使って床暖房を行いたいとのご要望もいただいた。土地のポテンシャルを大いに発揮しつつ、寒い冬を暖かく過ごせる住まいを目指した。
