温泉旅館の小さく開いた宴会リノベ

その他  /   エリア:熊本県  /   掲載日:2023-09-20

その他  /   エリア:熊本県

掲載日:2023-09-20

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熊本県山鹿市は九州でも有名な温泉エリア。コロナ禍で観光客の足は遠のき、街全体が閑散としてしまった。この山鹿温泉清流荘も当然ながら宿泊客が激減、特に大宴会場は155畳あったが全く使われなくなった。コロナ禍がきっかけではあるものの、本来の宴会場という定義を見直すことから始め、提供する空間や料理、体験に至るまですべてを再考し、同時に客単価を上げることを目標とした。

今回は155畳ある大宴会場の約半分の80畳を改修することにした。既存を活かした中宴会場と、個室仕様にする計画だ。宴会場は広いが襖や障子で囲まれた閉ざされた空間である。この“広く閉ざされた空間”を「小さく開いた空間」へと定義付けを変える。実は隣地に地酒、千代の園酒造があり、閉ざされた障子を開けると漆喰の壁と水切り瓦など趣のある酒蔵が見える。この酒蔵が見える個室はVIPルームとし、小さくとも歴史や酒の文化を感じられる街に開いた空間とした。他の部屋も地元の左官家が渾身の腕を奮い、土を中心とした表現を壁に施すことで山鹿の技術と人を感じられる、ゲストの右脳を開く個室となった。空間だけではない、料理やお酒も試行を変えたことでゲストの滞在時間が延び売上の増加にもつながったのは言うまでもない。この山鹿ならではの今回のリノベーション事例は全国の温泉旅館が抱える宴会場という機能の課題見直しにも役に立つのではないだろうか。

BEFORE


before image

熊本県山鹿市は九州でも有名な温泉エリア。コロナ禍で観光客の足は遠のき、街全体が閑散としてしまった。この山鹿温泉清流荘も当然ながら宿泊客が激減、特に大宴会場は155畳あり、この使われなくなった温泉旅館ならではのサービス空間を見直す機会となった。

Before

After

    • 部門
    • 無差別級
    • 間取り
    • 個室10室
    • 費用
    • 3500万円(税込)
    • 形態
  • 費用に含まれるもの
  • 施主支給設備(費用に含まれないもの)

物件情報


CREDIT


  • 施主 株式会社清流荘 代表取締役 平井英智
  • 設計 株式会社タムタムデザイン 代表取締役 田村晟一朗、設計担当 本田富子
  • 施工 株式会社st.LAB 代表取締役 内田真也
  • 施工 左官家 古川豊浩