子どもの成長や生活リズムの変化に合わせた動線の見直しや、リモートワークに最適なワークスペースを設置するなど、暮らしに合わせて環境を整え、暮らし続けるための再リノベーションが増えてきました。一方で、住み替えに対するハードルも下がり、「丁寧に住み続ける」とは異なる「住み替え・住み継ぐ」という価値観も広がりを見せています。そんな価値観を象徴するような、同室を3度リノベーションした事例の紹介です。
このお部屋にとって3度目となるリノベーションは、住まい手であるご夫婦それぞれのこだわりを積み重ね、限られた予算の中で元の間取りを生かしつつ、物件の良さを引き立てながらのリノベーションでした。以前の面影を残しながらも、住まい手の好みに合う雰囲気へと生まれ変わり、理想のお住まいが完成しました。これからお二人で暮らしを紡いで、このお部屋を自分たちの色に染め上げていただければと思います。
私たちにとっても、持続可能な社会に向けて、リノベーションを生業とする者の責任の重さ。また、住宅履歴情報(設計図書 等)を活用する重要性を再認識する貴重な経験となりました。
この先、ご夫婦のお二人がライフタイルの変化によって2度目のリノベを行うのか。それとも別の住人によってリノベされるのか。いずれにしてもリノベは住まい手の味方です。
リノベは続くよ、どこまでも。
BEFORE
仙台の中心であり、利便性が際立つ街、青葉区一番町。今後もさらなる発展が期待されるこの街で、“新しい暮らし”を模索していた50代のご夫婦が、築44年の中古マンションの一室を購入しました。
実はこのお部屋、また別のリノベーションストーリーが存在します。
遡ること2016年、このお部屋はリノベ済みの再販物件として、私たちの企画・開発により販売しています。当時、購入者の要望により各所間仕切り壁を取り払い、間取りや部屋のサイズ変更などの工事が行われ、新たな住まい手に合わせて再リノベーションしていました。
その後、6年間の生活を経て、ライフスタイルの変化によって住み替えを検討し、販売を決意。そのタイミングで今回のお施主様との出会いがありました。そのままでも住めるものの、自分たちのライフスタイルに合わせ、自分たちらしい住まいを求め、このお部屋にとって3度目のリノベーション計画が始まりました。