えんじ色は『わずかに紫みの深い赤』と表記される色です。日本古来の色でもあり、明度も低く落ち着いた印象を与え、知性を感じさせつつも熱意、堅実、伝統などをイメージされる万人に好かれる色です。そんな『えんじ色』をテーマカラーとして、占有面積としてはコンパクトなサイズ感ながら最大限の広さを実感できる間取りへリノベーションを行いました。生活の中で毎日必要となる「食」や「寝」という空間を無駄の無い一体感のあるスペースにし、ゆっくりと時間を使う場所であるリビングを実際のサイズ感より大きく感じられることを目標にプランニングを行いました。キッチンは洋室に繋がっており、廊下の役割も持たせるためあえてオープンなままにしました。こうすることで作業スペースとしても広さも確保。リビングからも見える洋室の扉はえんじ色を加え、さらにキッチンタイルの目地も同色でコーディネートし、空間のアクセントとしました。実際に住まう方にはオープンなLDKとクローズドな洋室を行き来する境目として気持ちのスイッチをオンオフする効果も期待します。また、南一面の大きな掃き出し窓は心地よい光が差し込む反面、室内環境が外気温に左右されやすいデメリットがありましたが熱や冷気の出入りを抑えられるよう、樹脂製サッシの内窓を新設しました。デザイン性が高いだけでなく、性能にも目を向けたテーマカラーである『えんじ色』にぴったりな一室となりました。
BEFORE
1973年築の年月を感じさせる1LDKと納戸のついた間取りでした。玄関から入ってすぐにリビングが広がるLDKは開放的ですが、プライベート空間や収納スペースがありません。キッチンや浴室といった生活必需品である水回りにすぐ手が届く便利さはそのままにリノベーションを行うこととなりました。