祖父母との記憶とともに住まい、自由になる

戸建  /   エリア:宮崎県  /   掲載日:2023-09-19

戸建  /   エリア:宮崎県

掲載日:2023-09-19

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施主の記憶と古き良き日本の生活様式がベニアによって覆われた農家古民家。
まずは、手探りで記憶を辿るように、覆っていたベニアを一枚一枚剥がすことから始まった。すると、中から伝統工法でつくられた土壁や、燻された柱や梁が顔を見せ、記憶が鮮明に甦るとともに、nLDKの形から元の伝統的な続き間と土間の間取りが現れた。
この伝統的な間取りの中に現代的な生活をしていた夫婦2人の生活を受け入れる空間をつくることとなる。水回りは現代の生活スタイルに合わせ全て更新し、キッチン、パントリー、ウォークインクローゼット、もちろんベッドルームも必要だ。
現在の生活スタイルの全てをこの伝統的な空間の中に入れる検討をパズルのピースを嵌め込むかの如くおこなっていく。LDKはそれぞれの機能をばらし、3つの続き間の中に、水回りや収納などは続き間とは通路を介して別棟のように配置し、続き間と土間という日本古来の農家の伝統的な間取りを再解釈し、現代の生活スタイルをそのまま取り入れる配置することができた。
施主夫婦は部屋の至る所に自分の好きなものや、さまざまな趣味のグッズを置き、祖父母の記憶に想いを馳せながら、趣味に時間を費やしながら快適に過ごしている。nLDKの間取りから解放され、伝統的な間取りに近づき、日本古来の生活様式に寄り添うことが、より快適な生活に近づけるヒントになるのではないかと思った。

BEFORE


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敷地は街から離れること車で15分ほどにあり、のどかな田園風景が広がる、魅力的な田舎の風景の中にある。
建物は築80年の施主の祖父母が住んだ家で、内部は祖父母が住んでいた間に土間部分が拡張され、現代的なキッチン・ダイニングとなり、納屋が個室となり、床の間にはその改装で合わなくなった仏壇、タンスや調度品などが押し込められ、歪なnLDKの形となっていた。
建築当初の使い方はベニアによって覆われていたが、施主と一緒に家の中に入り話を伺っていると、キッチンのあるところは床がなく土間で竈門があったこと、板間になっていたところに掘り炬燵がありここで食事をしていたことなど、子供の頃、夏休みに遊びにきた時の記憶が断片的に甦ってきた。
祖父母がいなくなった今、夏の思い出の詰まったこの古民家を記憶を辿りながら、終のすみかにするため再生することとなった。

Before

After

    • 部門
    • 1500万円未満
    • 間取り
    • 1LDK-D
    • 費用
    • 1200万円(税込)
    • 形態
  • 費用に含まれるもの
  • 家全体 / 水まわり / 居室・その他
  • 施主支給設備(費用に含まれないもの)
  • 備品、家電

物件情報


    • 築年月
    • 1945年1月
    • 構造
    • 木造
    • リノベーション面積
    • 134.33
    • 施工期間
    • 2ヶ月
    • 備考

CREDIT


  • 設計 PAAK DESIGN 株式会社
  • 施工 岩下建設有限会社