中古戸建購入の際にはデザイン以外のところで費用がかかる。建具の立て付けが悪ければ交換する、壁に穴が開いているので補修する、柱に傷があれば柱をきれいにやり直す…限られた資金のほとんどが必然的にそういった原状回復に充てられる。
お施主様には、中古戸建物の件購入からのリフォームでもデザインをあきらめなたくないという強いご要望があった。
通常当たり前のように取り替えるものを活かすことで、この固定概念を脱却しデザインとコストの両立を図った。
傷があった柱を残し、荒い目の床材を選定し既設の柱と新しいキッチンを調和させるようにした。
既設の建具は枠を塗装し扉本体はシート貼り、レールを交換することで立て付けと部屋全体の雰囲気を損なわずに再利用した。
木目が映えるキッチンは既製品のキッチンに既製品ウォールパネルを収納扉に使用することで予算を抑えた。また、単色の笠木を入れることでキッチンの存在感を引きだたせている。ランダムピッチのパネルを選択することで隠し扉のようなデザインにし、生活感を排除したシャープな空間を目指した。
諦めないための取捨選択をしていくことで、ご夫婦が強く希望されていた造作洗面や印象的なキッチン、デザイナーズ家具が映えるような空間を実現した。
BEFORE
立地や間取りが気に入り中古物件を購入したが、柱の傷や住宅設備の劣化、クロスや床の傷などが目立つ現状があった。お施主様は、理想のデザインやインテリア、造作の洗面やキッチン、子供たちが気兼ねなく遊べてキッチンからもそれを見守れるようなリビングなど、多くの憧れや理想を強く抱いていた。予算が限られている中ですべては叶えられないと思いながらも、その憧れを無くせずにいた。デザインとコストの両立を追求することが、私たちが期待に応えるうえでの最大のミッションであった。