狭くとも深くあれ

マンション  /   エリア:福岡県  /   掲載日:2023-09-16

マンション  /   エリア:福岡県

掲載日:2023-09-16

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新築分譲時にはその多くがリビング横にパターン化、セット配置される和室。地方都市の再販リノベーションだからこそ確保できる平米数を活かし、まだ見ぬ主人にとって狭くても意味と魅力の深い和室にするため、既設の和室を解体し新たな和室を設えた。
リビングとを隔てる建具は、茶室の躙口を想起させる敢えて不便にし、出入りを儀式化し、引手やルームプレートには漆芸作家に特別制作してもらった螺鈿や蒔絵という伝統技術を凝縮させている。室内では孤高の空想に浸ることができるよう、職人の手仕事で凝った文机や二股の床柱、塗壁など無垢の空間を作った。院展入選作品の原画が飾られた床間など、この一室で客人を迎えたり自身の創作活動や創造空間として利用されるに相応しいディテールを施した。

不動産が持つ潜在的な魅力にプラスして建築空間を設る職人の技術、絵画や漆芸といった芸術品、全サッシLow-e内窓新設やタッチレス水栓といった時代の技術、各々の作り手の魅力が凝縮した本プロジェクトは、現地現物でしか体感できないことばかり。再販だからこそ来場者が対面で現地現物で五感を解き放ちその空間に浸って魅力を感じられるリノベーションとした。

BEFORE


before image

高層階、南東角住戸、山々を望むパノラマビュー。L型に大きく広がる開口面から入る光、そしてバルコニーから240°広がる眺望に初回現地調査で心を奪われた。同時に現代の建築技術が詰まったコンクリート構造物の高層階からだからこそ見渡せる鳥瞰の光景が、自身を幽体離脱させたかのような気持ちにさせられた。この場所で太古の時代に鬱蒼と繁るシダ植物や群生林の上を雄大に羽ばたく始祖鳥を想像させられ、そういった夢想に浸れる孤高の空間を区分所有の1室内に設けるため、カール・フリードリヒ・ガウスの言葉を借り、そこに住まわれる方にとって深くかけがえの無い場所とするためのリノベーションプロジェクトがスタートした。

Before

After

    • 部門
    • 1500万円以上
    • 間取り
    • 4LDK+S
    • 費用
    • 1600万円(税込)
    • 形態
    • 再販モデル
  • 費用に含まれるもの
  • 家全体 / 水まわり / 居室・その他 / 断熱改修 / その他
  • 施主支給設備(費用に含まれないもの)
  • 家具、IoTエアコン、照明器具、オーダーシアーカーテン

物件情報


    • 築年月
    • 2003年11月
    • 構造
    • RC造14階建13階部分
    • リノベーション面積
    • 88.93
    • 施工期間
    • 3ヶ月
    • 備考

CREDIT


  • プロデュース・空間デザイン・販売:OLDGEAR
  • 日本画家:山田 雄貴
  • 漆芸作家:時田 早苗
  • 施工:株式会社大円建設
  • 竣工撮影:uruphoto