デザインの形状は垂直水平の四角を基本とし、一方で自然の柔らかさをバランスよく取り込みたいと考えた。LDK室の天井面には全面的に木材を採用し、薄い板の軽さを活かしながらちょうど良いスケール感のハコの連なりを感じることのできるデザインを考えた。自然をイメージした別の要素として、植物を抽象化した形状の綺麗なグリーンのフレームを持った引戸を、LDKへの出入り口と個室の仕切りに取り入れた。
昼間はベランダからの自然光で白い壁面や木材の天井の自然な風合いを楽しむことができ、夕方から夜間には壁面と少しキラキラするグレーのカーテンへの間接照明によって優しく包まれるような光の室内体験へと変化する。床や家具をスポット的に照らしている照明によって、その暖かな自然の質感を浮かび上がらせる。部屋の中心でもあるキッチンには上質な北欧デザインのペンダント照明を配置してアクセントとし、玄関寄りの二つの個室はホームオフィスにもできることも意識して、壁面や天井面が綺麗に見えるような間接照明のデザインを取り入れた。
四角い街並みから、建物の大きな箱、このマンション区画の箱、その内部の寝室やLDKなど、幾つもの異なる大きさの部屋の箱は、室内の天井の木の箱ハコの形状に連なり、身近なスケールで感じることができる。
BEFORE
マンション全体が堅牢な四角い形状で、部屋も整った箱のような印象であった。窓からの景色も四角い大きな建物の連なりが眺められ、この「四角い体験」をリノベデザインに反映させることがふさわしいと感じた。