「あえて家にテーマをつけるなら、ミッシュマッシュ。ドイツ語で“ごちゃまぜ”という意味です」 。
イベントプランナーのご主人と画家・アクセサリー作家の奥様が暮らすこの部屋は、「展示空間の代名詞である“ホワイトキューブ”のような空間をオーダーしました」という言葉通り、インテリアが主役となるよう極限まで白く、シンプル。唯一の装飾として造作した内窓は大胆に設え、採光と視線の抜けを確保した。「昔ロンドンに住んでいた時に、“家の中を自分ごととして捉えている”現地の方々がとても印象的で。インテリアを心から楽しんでいる姿に、 自分たちもそういうライフスタイルを大切にしたいなと思ったんです。それがこの家なら叶うので」と奥様。
今回のリノベで理想のキャンバスを手に入れたことで、家づくりへの想いはさらに加速。ブルーのワークデスク、ビビットな赤いシェルフなど、白い空間だからこそ冒険してみよう、とカラフルな家具や雑貨が仲間入りし、さらに自分たちらしい空間へと育てていった。それぞれのアイテムが生き生きと個性を放つその空間からは、エネルギーすら感じられる。「賃貸時代は自分の家なのに居候している気分だったけど、やっと自分の家だと思えます」と微笑むご主人。テイストに囚われず、本当にいいと思ったアイテムだけが美しく集積されたA邸は、自分軸でモノを選ぶことの大切さ、それらに囲まれて過ごすことの愉しさを教えてくれる。
BEFORE
交通の利便性が良く、周辺環境も気に入っていたことから、賃貸時代と同じエリアで希望の物件を購入。
リノベ済み物件だったことから全面的に既存を活かし、予算コントロールを徹底した。
間取り変更は優先順位の高かったワークスペースのみで、居間と隣接していた洋室をセミオープンな仕事場へと変更。
活かす部分と新設する部分があるからこそ、デザイン力・プランニング力・施工力を集結し、全体のバランスを考慮したこだわりの空間づくりに注力した。