「食と暮らし」をテーマに人と集い、もてなす「場」を夢見ていた施主様は、都市での生活が起点となっている。そんな中、出会った淡路島の古民家。都市では叶わなかった「もう一つの居場所」を作ることに!念願の二拠点生活を実現した古民家リノベーション。 施主様のご要望に応じ、私たちは3つの提案をした。①「伝統構法」を感じる空間→屋根裏の物置場を梁組が間近に見れるロフトへ。状態が良い既存の土壁や座敷等は補修に留め昔の趣を残す。②「集い」の空間→薪ストーブのある土間を新設。3つの和室の床下に断熱施工し、無垢板張りと吹き抜けのLDKに。その中心は、裏の畑から採れたて野菜を調理するキッチンスタジオ。リビングは壁一面の本棚を造作。右端の本棚が隠し扉で水廻りへと繋がる。➂「水廻り」空間→浴室・洗面・トイレが一部屋になったサニタリーの他に独立した洗面、トイレを設け複数のゲストに対応。施主様は全工事を共にし、伝統構法の知識とメンテナンスを学んでいただいた。 そして、この古民家リノベーションで得たことを施主様はこう記しています。『私がもう一つの居場所を作った答えは、みんなの家。私と波動が合う人が集まる「みんなの家」は、心と体を癒すそんな場所になると信じています。』 住まいの在り方が多様化する中、都市の利便性と田舎の豊かな環境、その両方を享受する暮らし方。二拠点生活の成功の鍵は、田舎の古民家リノベーションにあった。
BEFORE
車で2時間。自然溢れる淡路島で出会った古民家は、売主様の大工だった曽祖父がご子息の為に建てた家だった。思い入れのある家だが、引き継ぐことが出来ず…大事に受け継いでくれる人に譲りたいと思っていた売主様と施主様が運命的に出会えた古民家である。築93年。1997年 阪神淡路大震災の震源地だった淡路島で耐え抜いた古民家は、柱は垂直、床は水平。何ミリも狂うことない構造体で、先人大工の素晴らしい技と材の良さが際立っていた。その古民家の魅力と共に、売主様の思いと家の歴史を聞いた施主様は、この古民家を受け継ぐ決心をされた。しかし水廻りの老朽化はとても激しく、断熱が施されていない室内は、冬は凍えるほどの寒さで、施主様が気持ちよく住める状態ではなかった。施主様のご要望は「食と暮らし」を体験できる場と伝統を活かしつつ、施主様もゲストも楽しめる空間にしたい!施主様の想いをカタチにするりノベーションがスタートした。