本物件のマンションは、築39年でありながら、所在する場所や管理状態といったマンション従来のポテンシャルが高い為、過去に複数戸の物件がリノベーションされ新たな住まい手に渡っております。また半数以上が新築当時に購入され、そこからずっと住まわれている方たちが多く、当マンションにはひとつの町内会の様な結束力を感じます。そのようなマンションの性質から住民の方たちの当マンションを守りたいと言う思いもまた強く感じました。
住まい方や趣味・嗜好が多様化した現代、リノベーションされた再販物件の良さは、従来の万人の為の住宅ではなく型にはまらず住戸がアイデンティティを持っていることだと思います。本物件では各部屋は広く取りすぎず、LDKの柔軟性を高め窓からの光を最大限取り入れる間取りとしました、また、玄関から続きの部屋を土間で繋げ、新たな住まい手が自由に使える空間とする事とともに、閉鎖的だった廊下を開放することにしました。
本物件をリノベーションし再販することとなり、強く思ったのはこのリノベーションが当マンションの39年の歴史の新たな1ページとなることです。これからも続く歴史を繋いでいく一員になることと、これまでの軌跡に思いを馳せながら設計しました。
BEFORE
本マンションは、角部屋に位置してたものの、バルコニー側に和室二間が続きLDKは閉ざされていました。また、キッチンは空間を広くし採光を確保する為か特殊な位置に設置されていました。それゆえ、廊下は長く狭い閉鎖的な空間になってしまっていました。また、LDKと横並びの部屋は広さはあるものの大きな開口がありどちら付かずの空間でした。