計画地の建物は元ビジネスホテルで、RC造の間仕切壁も多く再生させるのは障害が多い為、経済原理に則すれば取り壊して新築ビルを建設することがセオリーかと思われる。しかし構造躯体を活かしながら再構築し新たな目的を帯びた施設へと再生させ、その結果を地域に示すことが地域活性化にも繋がると判断した。それは街がすでに持っている価値やポテンシャルの再開発とも言える。街の価値は街で暮らす人々がつくるものという考えの元に、1,2Fのユーザーは老若男女、全ての層を想定、それぞれが好きに行き交うことができるフロアとした。最上階には千葉エリアでビジネスの交流の場が皆無で空洞化している地元のビジネスの活性化の場、さながら「現代の料亭」を創出。この街の価値の新しい記録となりたいと考え「街の記憶を刻みながらも、日々、最高の記憶を更新していく場所」という想いの基に「the RECORDS」と命名した。
BEFORE
公園に隣接しているにも関わらず、既存建物の1Fは駐車場であり、公園に面したテラスも単なる設備置場であった。また、客室等の公園側の窓面も小さく、動線的にも視覚的にも公園や街へ開いた建物とは言い難かった。そこで、駐車場やテラスを客席へ、公園側に大きな窓を設けることで公園と密接な建物へのコンバージョンを計画。1Fからの人の滲み出し、公園との動線の連携、テラスと公園の心理的・視覚的繋がり等は地域活性化にも繋がると考えた。容積率の緩和対象である駐車場を店舗としたことにより他部分にて減床面積の必要があるが、それを逆手にとり階高の低い既存建物に開放感を与え、階ごとの繋がりを創出する大きな吹抜けを各階に設けた。1,2Fの客席は舞台性を持ち得ることになり各種イベントにも役立っている。3Fには東側に4Fには逆側に設けることで、其々の階が吹抜けを介したシームレスな空間となり非常に開放的なオフィスとなった。