老朽化が進み新たなテナント誘致が困難となったビルを、日本最大級264床の大型ホステルへと生まれ変わらせました。コンセプトは「Osaka Retro Relax」。時を経た建物に備わる柔らかな懐かしさを生かし、華美にならずシンプルに居心地の良い空間を目指しました。外観の趣のあるレトロなタイルはそのままに、1階エントランス廻りはその雰囲気を踏襲しつつ改修を施し、2階にはレセプション・バーカウンター・コモンキッチン・コモンダイニングを配し、レトロな素材感と木質感の温かみ、また随所にスチールの金属感でアクセントを加え、遊び心のある空間へと設えました。スケールメリットを活かした実験的な企みもあり、ホステルらしい二段ベッドのドミトリーに加え、家族やグループで使える4~6人個室、出張にも使えるホテルタイプ個室など、様々な客室を用意しました。広々としたコモンLDKは、たこやきパーティや日本の家庭料理教室など、各種イベントでも盛り上がります。国内外から訪れる様々なゲストが出会い、つながり、ここにしかない思い出と体験が日々生まれています。最近ではコワーキングスペースとしても利用され、アドレスホッパーやファミリーワーケーションなど新しいゲストが増えてきました。古いストックを再生することで、人と地域・文化がつながり新たな価値が生まれ続ける、まさに「renovative」なホステルができました。
BEFORE
1983年築の鉄筋コンクリート造の建物と1985年に増築された鉄骨造の建物を法規制に則り、リノベーション(改修)&コンバージョン(用途変更)しました。構造も築年も異なる2棟が連なり、1階から5階まではオフィス、6階と7階はメゾネットの住居という複雑な造りの建物でした。上層階はもともと外廊下だったのですが、ホステルという特性上、内廊下へと改修を行いました。大阪は2025年の万博開催が決まり、中でも心斎橋は人気の高いエリアです。このような立地の特性を活かし、老朽化が進み新たなテナント誘致が困難となったビルを、多様な宿泊ニーズにこたえる264人収容の大型ホステルへとコンバージョンしました。新型コロナウィルス感染症の猛威によって、世の中の当たり前が変わりつつありますが、そのパラダイムシフトを好機ととらえ、進化変化しながら、この建物は新たな価値を提供し続けてゆきます。