空いた区画。鉄骨3階建ての2階はスケルトン状態のまま半年が過ぎようとしていた。ただ開けていても何も生まないと思い、一定期間を無料で活用してくれるアーティストを募集したところ若き芸術家2人が共同展と創作活動を行ってくれた。彼らの本気の作品に魅せられた店主は憑りつかれた様に作品を数点購入。その後店主は仕事で英国へ行くが古城や歴史の豊かさに打たれる。若き芸術家の作品と英国で感じた豊かさをリンクさせ「豊かさの美術館」を表現し始めることに。出来上がった空間ではヴァン・ナチュールや地元の自然食品を中心に提供、空間構成に既製品は無い。アンティーク雑貨や家具、スケルトン時に展示された作家の絵は常設されることに。不思議な縁が空間を覆いつくす。ここでは蝋燭の灯りで食事をする、絵画を見ながらワインを嗜む。何気ないシーンが実は豊であり、簡単に体験し鑑賞できる。スケルトン状態の空き区画で出会い、「豊かさの美術館」を表現してきた出来事は、もうそれ自体が「豊かさ」だと気づいた。
BEFORE
Before