お施主様は、店舗や展示会などを手掛ける設計士。差別化するために尖ったアプトプットをすることも多いからこそ、住宅は設計者側のエゴを出すものではなく、この先も続いていく施主の日常生活に根ざすことが大切だと考えていた。
そこで、斬新さや尖ったコンセプトを追わず、生活の基盤を考えるリノベーション会社を探し続けていたところ、当社にご依頼いただいた。
カレーとビールが好きなご夫婦。この家はそんな日常的な空間を目指した住まい。
ポイントは、本棚の使い方。まずは、たくさんある本の収納と、好きな雑貨をディスプレイできる造作の本棚に機能性を持たせた。本棚を壁と見立てて空間構成することで可変性を実現。気分を変えたいときや家族構成の変化に合わせて、本棚の配置を変え、または追加することで、いつでも自由にレイアウトを変更できるようにした。
また、自宅での仕事が多いお二人にはワークスペースは必須。個室を設けて分断される関係性は良しとせず、2つのワークスペースを対角線上に配置した。こうすることで、どこにいても存在を感じられる、混じり合った空間だけど何故か心地いい距離を叶えた。
この先も続いていく日常を考え、地に足をつけたご夫婦の住宅に関する考え方は、リノベーションの素晴らしさを世の中に広めたいと思う私たちにとっても、初心に帰るようなプロジェクトとなった。
BEFORE
物件探しからスタートしたこのプロジェクト。見つけたのは、63㎡の3LDKの物件。いわゆるファミリータイプだが、壁が多くて窮屈さを感じる空間だった。
この間取りに対して「この先も続く日常がいつでも心地よく最適化されるようにするにはどうすべきか」の解を出すことが最大の課題。
63㎡で開放感を叶えるには?
沢山の本や雑貨を並べてもまとまるようにするには?
夫婦ともに在宅仕事ができるようにするには?
飽きずに新鮮さを保つためには?
まずは、身長・趣味趣向・ライフスタイル・性格・家事のやり方・大切にしていること…など、暮らしに関わる全てを聞くことからスタートした。