心を掴むストック 都住創を継ぐ

マンション  /   エリア:大阪府  /   掲載日:2020-09-21

マンション  /   エリア:大阪府

掲載日:2020-09-21

いいね!と思ったら、
ハートをクリック!340

renovation image

大阪中央区界隈に点在する『都住創』
施主のHさんはこの『都住創』のストックがもつ個性に魅了された一人。約128㎡・メゾネットの1室を購入×リノベーションし愛猫2匹と暮らす。

『都住創』とは、入居希望者が集まって共同で建てるコーポラティブ住宅の草分け的存在であり、設計事務所ヘキサが1975年から約30年に渡って複数棟手掛けた。棟内に同じ間取りはなく仕上材も様々。まるで戸建を積み上げたような集合住宅である。都市部にありながら比較的広い物件が多いのが特徴だ。

Hさんは、ガラスブロックや傾斜窓から差し込む光と表情、規格外のサイズ感を持つこのストックから、住宅というよりも「修道院」のような印象を受けた。目指したのは、光の表情が見えるモノトーンな空間だ。"著者”が施主で設計者は“編集者”のような関係性で進んだ家づくり。「家の中は何もかもが自分の思いに近づいていく空間であってほしい」「判断基準は美しいと思えるかどうか」とHさんは言う。
梁や柱の角まで意識を途切れさせないよう、壁・床・天井すべてに薄塗りしごき材による左官仕上げを行い、設備はエッジの利いたディティールを求め海外製品を採用。インテリアにおいても、ピーターアイビーの照明や川久保玲デザインの椅子等、こだわりのものを配した。
独特な枝ぶりが美しいサンルームとバルコニーの植栽は「荻野寿也景観設計」(別途施主工事)によるもの。

BEFORE


before image

『都住創』は均一化された集合住宅と異なる個性際立つストックである。ゆえにリノベーションでは、まるで迷路な既存配管経路や特殊な設備に設計者が頭を抱えることになる。それでも、こだわりを持った一人のためにつくられた家は、誰にも媚びない個性ゆえに際立ち、違う誰かのための魅力的な家となって引き継がれる。また、入居者は自らが住む集合住宅を愛している。売買取引にも拘らず入居者面談がある『都住創』は今も多い。そうして建物全体への想いも引継がれ、長く愛されていくのだ。

家は、住み手自らが心地よいと思える空間であれば幸せであり、他の誰かの為のものではない。けれも、こだわり抜いた結果、無意識に誰かの心を揺さぶることがある。私たちは、いま街にある魅力的なストックが埋もれず長く愛されるよう一石を投じ続けたい。

*H邸はアートアンドクラフト(Arts&Crafts)が仲介からサポート

Before

After

    • 部門
    • 1000万円以上
    • 間取り
    • 1LDK+S
    • 費用
    • 2500万円(税込)
    • 形態
    • 自由設計リノベ
  • 費用に含まれるもの
  • 家全体 / 水まわり / 居室・その他
  • 施主支給設備(費用に含まれないもの)
  • 植栽設計施工

物件情報


    • 築年月
    • 1982年11月
    • 構造
    • 鉄骨鉄筋コンクリート造
    • リノベーション面積
    • 127.75
    • 施工期間
    • 約5ヶ月
    • 備考