「価値観は人それぞれだけれど、私たちにとっては新築にかけた3,000万と実家リノベーションにかけた3,000万だと、後者の方が想い入れが強く意義があったと感じています」そう話すのは施主のUさん。
新築戸建てに9年暮したUさん夫婦。住み替え先に選んだのは、妻の実家である築43年・鉄骨造2階建の一戸建でした。父が他界し兄がひとりで暮らす実家は、経年劣化に加え台風の被害が激しく深刻な状況。それでも、建物の魅力を引き出すリノベーションとストックの可能性を信じ、住まいづくりのパートナーを探しておられました。リノベーションでは、これから安心して長く住めるよう、錆てしまった構造の鉄骨柱や雨漏りが発生している外装等のメンテナンスを施し、1階をガレージと兄の住居区画、2階をUさん夫婦の住居区画の二世帯住居に。『長年の夢だったガレージハウス』と、建物のルーツでもある『以前のように親戚が集まれる場所にしたい』という思いを叶えられました。
因みに、ガレージのロゴはUさんのデザイン。せっかくなら名前をつけよう!と考えられたものを形にしました。ご主人は時間があればガレージに向かい、レコードを流しながら愛車のハーレーや学生時代からのAPEを整備して過ごしておられます。また、年の節目に親戚が集まった際には、移設再利用した床柱と欄間を眺めながら思い出話にも花が咲き楽しい時間を過ごされたようです。
BEFORE
1階のピロティ部分も新築当時に床面積を参入して確認申請が出されていたことから、床面積の範囲内にガレージ部分を作る計画で進めました。ガレージ部分は、既存の鉄骨躯体の状態も考慮しつつ、元の建物に負担がかからないよう独立した“ハコ”として設けています。