築浅マンションのリノベーションである。子供は少しづつ大きくなる。子供の成長と共に、親が子供としたい事のバリエーションはどんどん増してくる。施主の最近の望みは、コロナ禍が続く中、何かと気を遣う外食を避け自宅で安心して家族と一緒に大好きなサムギョプサルの鉄板を囲む事。
ただ、問題が一つ。サムギョプサルという料理が、豚の三枚肉を目の前の鉄板で焼きながら食べる料理なので、ダイニングテーブルでやると部屋中に匂いや油が付着し、数日間リビングが悲惨な状況になるという事。
そこで奥様が閃いたのが、レンジフードの下に鉄板を置き、キッチン天板を家族で囲んで食事すれば、煙も臭いもレンジフードに吸い取られるのでは?というアイデアだ。更にレンジフード下を調理スペースや食卓として広く使えるように、あえてビルトインタイプのコンロを採用せず、必要時には出し、使わない時には仕舞ったりできる卓上IHを使うことにした。IHを仕舞えば広いフリースペースが現れるという計画だ。このような個性的な使い方にも対応できるのがオーダーキッチンの良いところである。
リノベーション完成後、早速レンジフードの下でサムギョプサルの鉄板を囲んだ奥様からの感想は、翌日臭いも油も残らず、とてもうまくいったというもの。合わせて、家族皆がこの新しいイベントを心置きなく楽しんだという私どもにも喜ばしいご報告も頂いた。
BEFORE
リノベーション以前は対面式のI型キッチンでした。コンロ正面にキッチンとリビングを隔てる大きな収納壁があり、奥様が料理をするスペースとリビングとがキッパリと分断されていました。またこの壁がLDKを狭く窮屈な空間に感じさせてもいました。加えて背面収納も既製品を並べた感じのもので、統一感が出ず、奥様が希望する収納の容量や見せ方ができていませんでした。