2020年度の住みよさランキングトップ10にもランクインした愛知県長久手市。都市と自然が共生しているこの街の魅力を残すため、空き家だった既存住宅を「暖かく、涼しく、静かに、ランニングコストを抑えながらも1年中快適に過ごせる住まい」へとリノベーションしました。
リビングのドアを開けると目に飛び込んでくるのが、壁一面の大きな窓。そして窓の向こうには鮮やかな緑。プライバシーを確保しながらも、まるで森の中にいるようなアウトドア空間は圧倒的な存在感を放ちます。耐力上主要部分である柱、筋かいを残すために外側へ250ミリ増築し、全面開口の窓を設置。増築したスペースを利用し外からの視線を遮ることができるロールスクリーンボックスを設けました。構造的要求と、デザイン性を両立させることができた住まいを実現しました。
「グリーンこそ、自然が作り出した最高のインテリア」そんな鮮やかな緑を眺めてくつろげるLDKには、空間にメリハリが生まれ単調を感じさせないダウンフロアを。人が集まる時には、思い思いの場所に腰かけて同じ空間を共有できるのも嬉しくなりそうです。
あふれている自然環境と住まいのつながりをリノベーションで再構成することで、スクラップ&ビルドではなく建物のみならず地域全体が環境に対する意識を持ち、街が発展しても心の安定感に満ちた暮らし方が今後の大きな魅力になってくると信じています。
BEFORE
おしゃれなカフェや大型商業施設が次々とオープンし、話題となっている長久手市中心部から車で10分のエリアには、大自然がそのままの里山として残っているエリアがある。そんな竹林や田畑に囲まれた築24年の戸建住宅は、一般的な2階建ての木造住宅で、閉鎖的且つ薄暗い印象でした。
中古住宅の不安要素でもある断熱性能や耐震性能を改善し、新築住宅に性能でも劣らないリノベーションを実施しました。断熱・調湿性能が高いセルロースファイバーを採用し、24時間換気についても吸気と排気の見直しを行うことで、家全体のバランスを現代と同性能に改善。また、大開口のサッシはU値1.67の高性能樹脂窓とLOW-E複層ガラスを採用することで、高い断熱性能を実現。増築部分の基礎はホールダウンアンカーによって通し柱と緊結させることで耐震性の向上を図っています。木造の戸建住宅を次の時代に受け継ぐための性能向上にチャレンジしました。