これまでのブランドイメージだったアメリカンスタイルを捨て去った上で、無機質なホワイトインダストリアルの空間デザインというプランを採用。さらにレイアウトの変更とカット席の4席追加にあわせて「働く人と人の繋がりや働き方」のリノベーションにも着手。オーナーやスタッフにとっては家よりも長く共同で使う場所だからこそ、従来の店舗で使い勝手が悪かった点やこれからの働き方について打合せを重ね、レイアウトを左右にカットカウンターをシンメトリーに6席、中央に熟練の職人の手仕事によるステンレスカウンターを置く動線設計に変更。さらにこれまでの窓が小さく中が見えにくい外観から、人通りに面したファサードごと大きなガラスに変えることで、明るさと街を舞台に自分が仕事をしているような高揚感をスタッフにもたせる演出を加えました。
内装のテイストは白と金属で大きく変えましたが、床面は濃茶で着色されていた無垢材をオーナーとスタッフ自らの手でベルトサンダーで剥ぎ取ってもらうことで、大きく変わった新しさの中に歴史を受け継ぐ「人の手のあたたかみ」をもたせるという空間アクセントにしました。
BEFORE
「この機会なんでゼロベースでブランドイメージからぶっ壊してください」という男前な決断を下したオーナーは20年近い実績をもつ地元では圧倒的な知名度で人気の高いサロンのオーナー美容師。元々の物件もセルフビルドながらアメリカンアンティークをあしらったファンが多い雰囲気たっぷりなステキな空間だった。ブランドの心機一転をはかるオーナーの思いきった依頼に背中を押され、これまでのテイストに縛られないまったく新しいリノベーション提案を行うことになった。