町の不動産屋ははっきり言って入りづらい。間取りの書かれたチラシや旗で覆われ、中はカウンターのみで、店員がこちらを見ている。人生で一番大きな買い物をする場所なのに、どこか薄暗い、アナログなイメージがある。そんな雰囲気を払拭するために、とにかく明るく開かれた、入りやすい不動産屋さんを目指した。
路面店らしく、開口に向けて奥行きを感じる大きな「ONE TABLE」を配置。家のリビングテーブルのような雰囲気で入りやすさを演出しながら、まるで町のリビングのような空間となるようデザインしている。奥に進むと立体的に構成された「組み合わせルーム」がある。子供たちの遊び場ともなるこの空間は、リノベーションのモデルルームとしても機能している。ONE TABLEの反対側には、勤務地や実家など複数場所を入力するとAIが自動的に理想の居住地を表示してくれる「BEST BASHO」や学区から物件が検索できる「School district searcher」など、物件検索ツールを自由に体験できるエリアも併設している。
ONE TABLE、検索システムが広がるこの空間は、イベントを行う空間としても機能している。近隣で働くワーカーや、同じビルの入居者など、参加者は年代も様々。ここまで開かれた不動産屋がかつてあっただろうか。流行の先端が渦巻くこの渋谷で、新たな不動産屋の在り方が誕生した。
BEFORE
もともと家具屋さんだったテナントビルを改修。ビルの外観デザインにも貢献している。