「デザイナーさんに提案されて、壁を2トーンで分けたんです。」
そのセリフを聞いて初めて気がついた、白と黒の2トーンで貼られたクロス。
対照的な色なのにここまで自然に溶け込むのはきっと、
夫妻が見つけたロートレックのアートが
はじめからここに飾られるのを予感していたのかと思うほど馴染んでいるから。
そして、リビングの主役であるガラス引き戸の割付ラインを
2トーンの切り替え部分と同じ高さにしているから。
もともと和室だったスペースは、夫婦の好きなインダストリアルテイストを追求し
フローリングにヴィンテージパイン、ガラスの引き戸にブラックをチョイス。
キッチンは既存を活かしながら、やはりインダストリアル調を取り入れて腰壁の
デザインを変更。
設計中にリノベ後の生活シーンをイメージして、インテリアスタイリングサービス
「decoる」も最大限に活用。より理想の空間に近づけた。
通常、1を10にするデザインというのは予算ありきだが、
いかに低コストで「自分たちらしさ」を表現するか。
最低限のリノベーションで、最大限を引き出すデザイン。
予算の中で、既存の素材や設備を活かしながら好きなデザインに改修していく方法は、
これからの生活をより楽しむための新しいリノベーションのカタチであった。
BEFORE
結婚を機に新居を探し始めたF夫妻。
予算は500万円以内と決めていたので、
メインとなるスペースのみのリノベを前提とし、
築浅で物件周辺の環境や広さを重視。
しかし30件もの中古マンションを内見すると、
こだわるポイントは「窓の大きさ」や「キッチンの広さ」、
「玄関から他の居室が見えないこと」などと細かいポイントになっていた。
「一風変わった」物件へのアンテナを張り巡らせ見つけた、築10年のマンション。
リビングには床暖房完備で、キッチンも大きくて使い勝手が良さそう。
既存のフローリングやその他の設備関係において、使える設備の大部分を残しながら、
自分たちの個性もしっかり空間に落とし込みたいと考えた夫妻は、
元々のポテンシャルを活かしながら、全く異なる印象に様変わりさせた。