小学校だった歴史と恵まれたロケーションを活かし、子供たちのために、子供だった大人たちのために、体験を通して楽しみながら学ぶ場をつくることを目指す宿泊施設および観光交流施設への用途変更による廃校活用。コンセプトは「おおすみの人と自然が先生です」。地域の豊かな社会資源(人、自然環境、産業、歴史等)が提供価値だ。
私達は企画・設計だけでなく運営まで手掛けることにより、地域や関係者の力や思いを少しずつ巻込み、丁寧にコンテクストを読み解きながら、この学校を一緒に一歩ずつ創り上げていくことを大事にしている。
学校だったこその空間と多様性を最大限活かし、利用者が自由自在に楽しめる「隙間と楽しさ」をデザインすることで、多種多様な使われ方と多世代多国籍の交流につながっている。先日は国際的なサマーキャンプが開催され、世界中から次代を担う若者が集い、さらに地域の若者も参加することになった。過疎化が進み廃校となってしまった場所が、世界中の若者と地域の若者が共にポジティブな未来を語り合う場所になるとは、なんてドラマチックなことだろう。
「小学校が無くなるということは、地域から子供たちがいなくなるということ。これほど悲しいことはなかった。再び、この学校に子供たちの笑い声が戻ってきたことが何よりうれしい。ありがとうございます。」町内会長からこのようなお言葉を頂いたとき、この場所を創って良かったと涙が出た。
BEFORE
2013年に閉校となった鹿屋市立菅原小学校跡地利活用の公募に対し、東京(ブルースタジオ)と鹿屋(大隅家守舎)で新会社(Katasudde)を立上げて参加し、審査を経て事業者に選定された。
校舎が1棟に体育館、校庭、プール跡。日本一海に近い小学校と言われた錦江湾に囲まれた素晴らしいロケーションを持つ。
鹿屋市との賃貸借契約であり、家賃、資金調達、改修費用、運営費用について事業者(Katasudde)が負担。その他、市が基本性能回復工事(浄化槽、外壁補修等)、県が外構駐車場、遊歩道等の整備を担当。市や県と連携しながら、錦江湾しおかぜ街道の観光拠点となることが求められた。また、地域の方々はグランドゴルフや軽トラ市、運動会等、日常的に学校跡地を利用していた。私達は説明会や親睦バーベキュー等を重ねながら、地域とコミュニケーションを取り、事業開始後も引き続き地域の拠点になれることを目指した。