リノベーション済の物件をリノベする作法。前までの歴史を未来へ引き継ぐように、コンディションを整えるような設計をした。
大きくいじったり、全く別の要素を入れるのではなく、素材や色彩に注意を払いながら、要素を1つプラスすることや、1つマイナスすることで、フィットするように空間の配列を変えることができ、同じような質感で、お施主様にあった別の構成を作ることができた。
キッチンとダイニングの間に、抜け感を損なわないよう、また物が見えないようにH1500の高さに設定した黒いパントリーボックス。
既存キッチンにパントリーというパートナーが、ダイニング側からはカウンターテーブルというパートナーが生まれた。前後の関係性が変わった。
WIC+寝室だった白いボックスに対しては、アーチ開口、開閉式ハイサイドライトを設けることで、寝室+化粧室+WICが光を感じながら緩やかに紡がれ、既存ハイサイドライトと合わせることで換気機能を高めた。光と風、視線の制御にウッドブラインドを新たに設置し、繊細な環境設定ができるようになった。
このように一つを変える、プラスする、マイナスすることで、その周辺が変わるようなデザインのあり方が、新たな施主を迎える空間の設えとして生まれ変わらせる可能性をもち、また、リノベ済み物件にそのまま住んだり、リフォームしたり、劇的に変えずに、リノベする作法の一つでは無いだろうか。
BEFORE
5回以上にわたるリフォーム、リノベーション歴を持つ部屋。
施主様は既存の状態を基本的には気に入っていらっしゃったので、キーになるものを足し引きすることで
周辺の関係性が緩やかに変わるような設計を試みた。