まず計画したのは、広さ確保ための間仕切り壁の撤去、階段のスケルトン化、天井の躯体見せ。また、南面の採光を完全に隣家に遮られた暗さの問題はサッシの拡張や間仕切りの撤去により解決され、床下には断熱材を仕込む事で底冷えの問題を解消した。
土間の拡張と、土間から直接アプローチ可能なキッチン、洗濯機置き場横に設けた家事スペース、大サイズの洗面ボールの設置など、これからさらに増える日々の家事負担も動線計画により解決する事に成功した。
2階は家事動線を確保しつつ、子供部屋を将来2つに間仕切れる計画とした。
床材に関しては完全オリジナルの無垢材を使用。施主の細部に至るこだわりを形にした。
デザイン面では、木、アイアン、モルタルをメインとし、それに対する建具の選定からサブウェイタイルの目地の太さに至るまで繊細な計算を行った。
家族構成や環境の変化に対し、細やかな変化をし続けられることがリノベーションの醍醐味である。
変わらない建物と記憶。変わる間取りとデザイン。
今回は、建物の歴史を引き継ぎつつ、家族構成の変化により起きた問題を解決するとともに、家事動線、デザイン面なども合わせ、更なる付加価値をもリノベーションによって与える事に成功した。
BEFORE
甲子園球場のふもと、長く家族で暮らしていたこの住宅。
第二子誕生を控え、居住スペースに限界を感じ、
愛着あるこの建物の課題をリノベーションの手法で解決することを決意。
築40年、間口が狭く小さく仕切られたこの住宅は、光が差し込まず、
新しく家族が増えていく度に、狭く使い勝手が悪くなっていた。